レックスクエスト
第八章 起きない奇跡(前編)
「・・・ヘンリー様、我々が思った以上の強さだったが・・・もう、終りです」
ヘンリーはもう立つ事すらも出なかった。
けっ・・・マヌーサが上手いこと二人に掛けれたまでは良かったが・・・奴等、魔法も使えるんだよな・・・
悪いなコリンズ・・・やっぱメガンテの腕輪に頼る事になりそうだ…
「…我々にできることはせめて…苦しまずにとどめを刺すことしか…」
悲しい瞳をしながらサーラが魔法を詠唱する、彼の頭上に巨大な炎の塊ができてくる。火炎系最強魔法、メラゾーマだ。
確かにそんなすげえ魔法なら、痛みすら感じずあの世にいけるだろうさ…が、悪りいな…お前等も道連れだ…
そうヘンリーは思いながら目を閉じた。
しかし、その炎の塊はヘンリーの元へ行くことは無かった。
「凍てつく波動ぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
後ろから何者かの声が聞こえる、それと同時に凍てつく波動が今まで戦っていた二人の魔物を包む。
その波動により、二人の魔物たちの洗脳が解ける。二人の魔物たちは安堵の表情をしながらその場で膝を突いた。
「た、助かったぜタークの坊ちゃん・・・・このままじゃあへンリーの旦那を殺してしまう所だったぜ・・・・」
「アベル様、ターク様、申し訳ございません!!我々が油断したばかりに貴方様の友人を殺してしまうところでした・・・・」
「いや、お前達は悪くないよ・・・悪いのは・・・」
アベルの声が聞こえる、どうやら俺は助かったらしい・・・そう思うヘンリーの横で、彼を呼ぶ声が聞こえた。
「ほっほっほ・・・本当にすばらしい兄弟愛ですね・・・・その兄弟愛はこの炎何発分でしょうか・・・?」
ゲマが笑いながらレックスに対してメラミを唱え続ける。何発食らっただろうか、もう覚えていない・・・
「お、お兄ちゃん・・・・もういいから・・・私のことはいいから・・・逃げてぇ・・・」
タバサが泣いている、大丈夫、お前のことは僕が守るから・・・・
だから、お前は心配しないで良いから・・・・泣かなくても良いから・・・・
「おやぁ?もうダウンですか?面白みの無い・・・・」
ダウン・・・・?僕は・・・・もう・・・倒れているのか・・・・?もう・・・それすらも・・・判らない・・・・
「まあ、十分楽しませてもらいましたし・・・そろそろ消えて貰いましょうか・・・・」
ゲマの左手に炎が集まる。これを食らったらもう僕は・・・・
「では、さよならですよ勇者様!!!」
今までよりも巨大な炎がレックスの元へ飛ぶ。それを受ける為に構える力すら、レックスには残っては居なかった。
ごめんタバサ・・・・僕は・・・・お前の事を最後まで・・・守れない・・・・
だけど・・・僕が居なくても・・・きっと父さんが・・・タバサの事・・・助けてくれるさ・・・・
大好きだったよ・・・タバサ・・・・・
レックスは、死を覚悟し、目を閉じた・・・
レックスクエスト
第八章 起きない奇跡(前編)終