403氏のSS…14

レックスクエスト
第八章 起きない奇跡(後編)


「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!お兄ちゃぁぁぁぁぁぁん!!」

瀕死の兄に向かって巨大な炎が向かっていく。

私が・・・・私が捕まってしまったばかりに・・・兄が・・・私の愛している人が・・・・目の前で・・・・

「ほっほっほ・・・すばらしい!!20年前を思い出しますよ!!ほっほっほ・・・ふっひゃっひゃぁぁぁっ!!」

ゲマは炎によりあがった砂煙を見ながら不気味なほどの笑いを上げている。

しかし、砂煙から出てきたのはレックスの焼死体ではなく、一人の男であった。

「くっ!!だ、大丈夫かレックス!!」

「・・・お、お父・・・さ・・・ん・・・」

レックスが目を開ける、そこには父が居た。

父さんが・・・来てくれた・・・・これで・・・・もしかしたら・・・助かるかも知れない・・・

レックスは、自分が生きている内に父が来てくれた奇跡に感謝した・・・

「ご、ごめんお父さん・・・僕じゃ・・・・タバサは・・・・」

「もういい、大丈夫だレックス、少し休んでなさい」

「ほっ!!すばらしいタイミングですなアベル王、お久しぶりです、覚えていらっしゃるでしょうか?」

「・・・忘れるはずは無いだろうが・・・・・父を殺し、母を殺し・・・そして次は俺の子供達を殺す気か・・・ゲマ!!!」

「ほっほっほ・・・それも捨てがたいのですが・・・・そうですねえ・・・貴方が死んでくれると言うのなら・・・・貴方の御子様の命は保障しましょうか?」

「何を馬鹿な事を!!!タバサ!!少し痛いかもしれないが我慢しろよ!!すぐにザオリクとベホマをかけてやるから!!!」

アベルは剣を構えようとした、が、それはレックスによって止められた。

「だ・・・駄目だ・・・お父・・・さん・・・今の・・・タバサには・・・・呪いが・・・」

「そうです、魔法を一切受け付けない・・という呪いですよ?無論、王女様の命がいらないというのであれば、貴方達は私を倒してハッピーエンドなのでしょうが・・・・?」

「なっ・・・・・!!くっ・・・・」

アベルは構えを解くしかなった。

「・・・・・判った、俺を殺したら、俺の子供達は解放してくれると言うのだな。」

「お、お父・・・さ・・ん・・・?」

「その通りですよ?んん〜・・・すばらしい、これで完全に二十年前の状況というわけですねぇええ!!」

レックスとタバサは絶望した、希望であった父が来ても、状況は殆ど変わらなかった・・・・

「ほっほっほお!!さあ!!貴方は何発耐えれるでしょうか!!」

ゲマは先程レックスに行っていた様に、左手で炎を作り、それをアベルにぶつけだした。


───────


「ほっほっほ!!パパス王の時もそうでしたが、子供を思う父の心と言うのはすばらしいですねえ!!だが、後何発耐えれるでしょうか!?」

「ぐっ・・・・ま、まだ・・・・」

「と、父さん・・・・・」

もう、何十発食らっただろう、アベルはもう覚えていない。

アベルはゲマの攻撃にただじっと耐えているだけであった。その横では先程の炎の攻撃の為重症を負ったレックスが倒れている・・・

私の為に、父が・・・・そして愛する兄が・・・

私の為に・・・私がつかまらなければ良かったのに・・・

そう・・・私が居なければ良かったのに・・・・

ああ、そうか・・・私が居なければ・・・・・・・

私が、居なければ──────

「お父さん・・・もう・・・もう大丈夫だから!!!」

娘の、そして息子の為に耐えている父に向かってタバサが叫ぶ。

「私、いまどうすればいいか分かったから!!もう、もう大丈夫だから・・・・」

「ほっほっほ・・・この状態で何をするつもりですかお姫様?何かすばらしい案でも思いつきましたか?残念ながら、貴方が命を落とす以外に彼等が助かる方法など内容におもえますがぁ?」

「・・・そう・・・それしか方法はないよね・・・」

そうつぶやき、タバサは首に近づけられた鎌の歯を密着させる。

そう、私が居なくなれば・・・お父さん達は助かる・・・・そして・・・お兄ちゃんだって助かる・・・

「お父さん、ごめんなさい・・・・私の為に・・・・けど・・・もう・・・大丈夫だからね・・・?」

「な、何を言ってるんだ・・・タバサ・・・・」

お父さんが私の事を見ている、きっと悲しむだろうな・・・お父さん・・・・

「そして・・・・お兄ちゃん・・・?」

「タ・・・タバサ・・・・・?」

大ダメージを受けていた兄が、動揺した目で私を見ている。

ああ、ごめんなさいお兄ちゃん・・・私のせいで・・・けど、もう大丈夫だから・・・そして・・・・最後になるから・・聞いて欲しい・・・

「お兄ちゃん?私、前に好きな人が居るって言ったよね・・・・?」

秘密にしよう、私はは今までそう思っていた。許される恋じゃない。禁じられている恋。言う事すらタブーのはずだった。もうあきらめていた、だけど・・・・

これで最後ならば・・・言っても・・・・伝えるだけでも・・・

私が好きだったのは・・・

「私が好きだったのは・・・・」


グランパニアに住んでいる・・・・
「グランバニアに住んでいる・・・」

レックス王子、つまり貴方・・・・
「レックス王子・・・つまり・・・貴方でした・・・・」


「タバ・・・サ・・・?」
兄は動揺したかの様にタバサの名を呼んだ

その兄に対してタバサは笑顔で、そして一筋の涙が頬を伝いながら、レックスにこう伝えた・・・・
「愛してました・・・お兄ちゃん・・・・大好きだったよ・・・・?」
そう伝えた後、タバサは、鎌を首に密着させたまま、首を横に振った。



タバサの首から 噴水のように鮮血が噴出す。



その姿は、薔薇の花弁の様であった。


薔薇が 崩れ落ちた。





「タバサあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

レックスは 愛する者の名を 叫んだ。

ゲマが動揺したのかタバサから離れている。

父が怒りに任せて涙を流しながら咆哮を上げながらゲマの元へと走っていっている。

だが、今のレックスにはそんなものは見えていない、聞こえていない。

体が痛い、先程くらい続けた炎のせいだ、さっきまで意識が朦朧としてたくらい痛かった・・・

だが、今はもうそんな事は関係ない!!倒れている時じゃない!!

今なら、今ならまだ助けれる、今すぐ、タバサの意識が途絶えない内にシャナクを・・・・

シャナクさえ決まれば!!まだ!!何とかなる!!!!

「ウアァァァァァァァァアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

レックスは、自分が男として愛する人の元へ、自分を男として愛してくれた人の元へ駆けていった。


レックスクエスト
第八章 起きない奇跡(後編)終


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