レックスクエスト
第五章 ゲマ
「ほら!何トロトロしてるんだ!早く行くぞレックス!!」
レックスを呼ぶ、急がないと・・・タバサちゃんが大変な事になる・・・それだけは・・・!!
その様子をレックスは冷めた目で見ていた。
『今のところは・・・合格点だよな・・・タバサの事、真剣に考えてるし・・・けど、少しでも後ろを見せるようなそぶりを見せたら・・・・』
切り捨てよう・・・
剣を握り締め、そう考えていた。
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『おいアベル!お前の息子やる気なさげだなあ・・・・?ちゃんと説明したのか?』
『あ、ああ、説明したときはやる気満々だったのに・・・どうしたんだろうなあ・・・?』
『まあ若い内は親にも言えない事柄もあるだろうに、うんうん!さしずめラインハットで恋をしたとか!?』
『まっさか〜?ルドマンさん、ウチの子はまだまだお子様ですよ♪』
大人たちはレックスの気持ちなど知るはずもなく、のん気に角の陰から様子を見ていた。
『むほ!話している間に始まりましたよ?』
『お?アレもしかしてスミスとサイモンじゃねえか?俺が居た時に仲間になった・・・』
『ああ、お前の息子って聞いたら真っ先に志願したんだよ、あいつ等。』
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「ヴぁぁぁぁあ・・・・・・・・・」
「我々を倒さない限りこっから先を通すことはできんね。」
腐った死体のスミスとさまよう鎧のサイモンがレックスとコリンズの前に立ちふさがる。
「ちっ・・・魔物なんて見るのは久しぶりだが・・・けっこう強そうだぜ・・・俺は右の腐ってるヤツをヤル!!お前は左の鎧を任せる!!」
レックスにそう伝えると同時に、コリンズはスミスに向かって走っていった。
・・・・勇気は合格・・・か・・・・
レックスはスミスへ向かっていくコリンズを悲しい目で見つめていた。
そこに、サイモンの鋭い剣戟がレックスを襲った、それを即座に交わそうとするが考え事をしていた為か、よけるのが少し遅れ、レックスは右肩を軽く負傷した。
「くっ!しまった、油断した!!」
「お遊びとは言え油断されるのはたまらんね坊ちゃん、多少は本気を出してもらわないと困るね」
告げ終わらない内にサイモンは振り下ろした一撃をレックスに放った、手加減は無い、遊びとはいえレックスの実力を知っているからこそ、手など抜けないのだ。
「うおおおおおおおおおっ!!」
レックスはそれを剣で受け流し、その勢いでサイモンに鋭い一閃を放った。その一撃を浴びたサイモンは、その場に崩れ落ちた。
「流石坊ちゃん、やられてしまった・・・力を出し切った後の一服はたまらんね・・・・」
そういい残しサイモンは床に倒れた。し、しまった!やりすぎてしまったか!?レックスはそう思ったが、よく見ると右手でこっそりと薬草を使っている姿を見て安心した。
「おっ、レックス、終わったのか?こっちは何とか勝ったぜ・・・」
コリンズが声をかける、振り向くとそこには息を切らして居るコリンズと、その横で伸びているスミスの姿があった。
手加減していたとは言え、スミスを倒せるなんて・・・・グランバニア兵士でも苦戦するだろスミスを・・・
強さも・・・一応合格・・だな・・・・
「いやぁ!何とかなるもんだな!いやあ、何とかなるもんだな!・・・って、お前、怪我してるじゃねえか!ちょっと見せてみろ!!」
「あ、いや、これは大した傷じゃないから・・・気にしないで・・・」
「んな事言って、血が出てるじゃねえか!あ〜、少し待ってろ!ベホイミ!!」
そういいコリンズは先程サイモンにやられた右肩にベホイミをかけた、レックスが受けた刀傷が見る見る内に回復していく。
「へへっ、母上に教えてもらったんだよ!親父も使えないんだぜ?って、お前は使えたんだったか・・・」
「あ、ありがとうコリンズ・・・」
「へっ、子分を助けるのは親分の役目だからな!」
照れ隠しの為かぶっきらぼうに答える。
やさしさも・・・合格・・・か・・・・ははは、何一人で暴走してたんだ僕は?コリンズは何だかんだいって全部の条件満たしてるようだし
コリンズはタバサを幸せにしてくれるに決まってるじゃないか・・・僕の一方的な片思いでタバサを不幸にする所だったよ。大丈夫、彼なら大丈夫じゃないか・・・ははは・・・
「ねえコリンズ!!」
「んあ?何だレックス?」
「・・・・ラインハット王子が君で・・・本当によかったよ・・・」
「は、は、はあ???」
「うん!君なら大丈夫だ!僕も諦めがつく!うん!・・・それが・・・一番幸せな結果になるんだから!!」
「な、何泣きながら気持ち悪いこといってるんだよ!!とにかくホラ!早く行くぞ!!」
コリンズは顔を少し赤くして地下通路を進んでいった。
『うん・・・これが一番幸せな結果に・・つながるんだよね・・・』
レックスは目に涙を溜めながら、コリンズの後ろ姿を追っていった。
ご確認のために久々に言わせて貰うが別に結婚が決まった訳ではない、決まったわけでは無いのだが、もう、彼のネガティブ思考は、どこまでも止まらず、諦めへと変化していった。
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同刻 地下牢
「ん・・・こ、ここは・・・・?」
冷たい石のベットの上で、タバサは目が覚めた、身動きが取れない、手足が縛られている。
「ほっほっほ・・・やっとお目覚めですか?お姫様・・・・?」
「貴方は・・・・!?」
そう、忘れもしない、その不気味なローブ、不気味な目、気味が悪い顔色・・・祖父を、私達の目の前で祖母を殺した張本人・・・そして、父が倒したはずの・・・
「ゲマ!生きていたの!?」
「ほっほっほ・・・このとおりですよ・・あんな所で全力で殺されるほど馬鹿と?」
「・・・な、何が目的なの?」
「目的・・・いや、大した事はありませんよ・・・・」
ゲマは真っ赤に裂けた口をニヤけさせ、タバサに話しかける。
「私は今まで屈辱と言うものを味わったことがありませんでした、自分の考えた物事が上手くいかなかった事はありません。
しかし、貴方の父上様に嫌というほどそれを味合わされました、それはとても苦く、私には耐えられる物ではありませんでしたよ・・・」
さらにゲマは続ける。
「ですからこの屈辱を与えた貴方のお父上にお礼がしたくて此方に戻ってきたら面白そうな事をしているではないですか?折角ですのでお礼を兼ねて、私も参加させてもらおうと思ったわけですよ・・
・・・・?無論、そのご家族である貴方達にも同じお礼を差し上げるつもりですが・・・」
そう喋るゲマの目は黒く淀んでいた。
「くっ!こ、殺すなら早く殺しなさいよ!」
「殺す?これはまた面白いことを言いなさるな・・・・・?」
そう言いながらゲマは、刃物の様にとがった爪の先端をタバサの首に当てた。
「確かに私の新しい部下達に貴方の精神が壊れるまで陵辱させた後、見るも無様な貴方の死体を送りつけるだけでも復讐と言えない事も無いのでしょうが・・・」
タバサに突きつけた爪は、タバサの中心線をなぞるように進んでいき、それに続くようにタバサの服を切っていく。中心を切られた服から、タバサの成長途中の胸が見える。
「・・・ひっ・・!?」
「・・・おやおや、可愛い声で鳴くお姫様だ。安心しなさい、まだしませんよ。まずは、貴方のお父上様に、貴方のおじいさんと同じ目にあって頂かないと・・・・」
そう言いながら、ゲマは鈍く光る大鎌を取り出し、不気味に笑い出した。
『怖いよ・・・お兄ちゃん・・・助けて・・・・!?』
恐怖におびえるタバサが心の中で呼んでいたのは、ゲマの復讐の相手の父ではなく、その息子の兄であった・・・・
レックスクエスト
第五章 ゲマ 終