レックス クエスト
序章
ラインハットの冬は以外に寒い、外には白い花吹雪が舞い狂い、門番の兵士たちの帰りの熱燗を美味くする。
その国の城の一角で紅茶をすすりながら世間話をしている中年一歩手前の男二人が居た
その内の一人はラインハット国王の兄、ヘンリー、もう一人はグランパニア王でありこの世界を平和に導いた勇者の父、アベルである。
「・・・なあ、アベル?お前さんの跡継ぎはしっかりしてていいよなあ・・・」
「ん?何だ突然?」
世界に平和が訪れてから数年、年末決算も終え暇を持て余していたアベル。グランパニアは今年も黒字だ。
特にこれといった仕事も無く、あまりにも暇なので親友ヘンリーがいるラインハットへ一人で遊びに行くことにした。
本来なら山を超え谷を越えた上に長い海路を渡らなければならないのだがアベルにはルーラという便利な魔法がある。世界各国日帰り旅行が可能なの
である。
まさに近所の悪友に会いに行く気持ちでラインハットへ向かったアベルであった。
しかし、ラインハット国から見たら一国の王が一人で赴いてきたのである。ヘンリーはその魔法の事を知っているのだが周りはそうは行かない。
デール王に至っては
『に、兄さん!!こ、これはあれですよ!グランパニアが我が国、つまりラインハットと正式な協定、つまり王族同士の血縁のつながりを求めてきているん
じゃないでしょうか!?
つ、つまりですよ!これはタバサ王女とコリンズ王子の婚約話を持ってきたのではないでしょうか!?いや、そうです!そうに決まってます!大体一国の
王がわざ(ry』
と、言う具合に一人で暴走した挙句、会食の準備までしようとしてたところをヘンリーは止めた。
しかし・・・もし、本当にそんな関係になれたらいいよな・・・俺の馬鹿息子がアベルの娘と結婚っ?かーっ!いいじゃないか!
国とのつながりが強くなれるし、親友と血縁関係になれる!これはいい事づくめじゃねえのか!?
・・・・そんな思いがヘンリーの頭をよぎっていた・・・・・
──────
「なあアベル。お前さんとこのタバサちゃんと俺の馬鹿息子、よかったら結婚させないか?」
「ぶふぉぉぉぉぉっ!!!」
アベルは飲んでいた紅茶を吹いた。まさに漫画の様にだ。
「けほっ・・・けほっ・・・と、突然何言い出すんだよヘンリー!ま、まだ14歳だぞ?あの子達に結婚は早すぎるだろう!それ以前にあの子達の気持ちの問題ってのがある
だろう!」
「まあ・・・俺もそう言いたいところなんだがな、一国の王となる人物と王の娘ってのがそうはさせてくれないだろう・・・第一、コリンズの方はタバサちゃんにゾッコンLOVEら
しいしなぁ・・」
ヘンリーはニヤニヤしながら語りだした。自分の子の問題というよりも他人の恋愛話を楽しむ少年みたいな雰囲気だ。そういう会話は少年時代に卒業するものなのだが、
彼は奴隷時代のせいでその様な浮いた会話を楽しむことが無かった。
その反動・・・と思いたい。
「だ、だけどタバサの方ははコリンズ王子の事、あまり好ましく思ってないみたいだし、俺も父とし実戦経験もなくて精神的に鍛えられてない男に娘をやるのは流石に・・・
・」
動揺しているとはいえ、もの凄く失礼な暴言である。一歩間違えたら戦争が起きてもおかしくない、そんな発言である。
しかしヘンリーはその言葉を待ってたかのようにこう答えた。
「そう!そこなんだよ!コリンズに足りない部分!俺やお前みたいに10年も奴隷生活するわけでもなく!レックス王子やタバサちゃん見たいにおさないころから旅に出て
た訳でもない!
そりゃあ、城の中で勉強させたり剣の修行させたりしてソコソコの腕にゃあなったが・・・そこでお前に頼みがあるんだ!!俺な?コリンズに冒険をさせようと思うんだわ!
」
「冒険?」
「そう!!ダンジョンの中に居る魔物を倒し!タバサちゃんに『きゃぁ〜コリンズ君かっこいい〜!!』って言われるような冒険だ!!」
「っても・・・・今、人を襲う魔物なんて居ないぞ?」
「だ〜か〜ら!お前に頼みがあるんだよ!モンスター使いのお前にな!」
「ば、ばか!お前!俺の仲間をコリンズ君に殺させる気か!第一俺の仲間はコリンズ君じゃはが立たないぞ?」
「ば〜かはお前だ!歯が立たないからいいんじゃねえか!適度に手加減してもらって!ある程度経ったらモンスターに倒れてもらう!あくまで精神修行だからな!コリン
ズの!」
「な、なるほど・・・」
「それで、だ!そうだな・・・タバサちゃんを助けに行くって感じでどうかねえ?お供にレックス王子を付けて!で、お前と俺は影から見てる!それでお前さんとタバサちゃ
んがOKしたら結婚、んでもって駄目駄目だったらこの話はなしって事で!」
「ま、まあ・・・それなら・・・いい・・・のかな?」
「よし!決まりだ!そうだなあ・・・・『ラインハット城地下牢に閉じ込められたタバサ姫!それを救いに行くコリンズ&レックス!』・・・・こんな感じでどうだ!?」
「あ、はあ・・・いい・・・んじゃないかな?どうでも・・・」
半ば強制的に決められたアベル。こうして、コリンズのタバサ姫奪還計画〔企画、ヘンリー 協力 アベル〕は着々と進んで行くのであった・・・・
第一章 双子の気持ち