くるみ割り人魚氏のSS

大魔王との闘いから数年後───


今日はラインハット王子で、ボクらの友達、コリンズくんの誕生日だ。

あれから度々ラインハットには遊びに来ていたのだけど

可愛い妹のタバサは、相変わらずワガママで自分勝手なコリンズくんとは

どうしても仲良くなれないようだった…

とっても優しいお父さんのカオを立てる意味で、仕方なく一緒に遊んだりするんだけど…

今日も、本当はワガママ王子の誕生パーティーなんかに行きたくないの…

なんてボクには本音を洩らしてたんだけど、まぁ仕方ないよね。

「おい! 子分ども!! 今日はオレ様の言うことに絶対逆らうなよ!!命令を聞くことが何よりの誕生日プレゼントだと思え!! 良いな!?」

はぁ… プレゼントならさっきあげたのに…

前からコリンズくんが欲しい欲しいって言っていたのは、禍々しいドクロの彫刻がしてある「魔封じの杖」だった。

貴重なモノだから、お父さんに相談したら、プレゼントしても良いって言ってくれたから

今回の誕生日プレゼントはソレに決めたのだった。

「何であんな変わった杖が欲しいんだろう?」

「さぁ? 変わったことをやって自分は特別だ、とか思いたいんじゃないの?」

「(;・∀・)ヨウシャ ナイネ タバサ…」

こんな、いつもと変わらない他愛ない会話をしてるうちに

大人達はお酒を呑んで、すっかりデキあがっちゃってたから

ボクとタバサは、カラまれないうちにパーティー会場を抜け出そうとした。


───が…


「おい! オレ様に黙ってどこに行こうって言うんだ!?」

あ〜あ、ヨッパライよりタチの悪いのに捉まっちゃったかも…

ボクもタバサも、コリンズくんの前ではアカラサマにイヤなカオはしない。

無駄な争いの元になるからね。

「おいレックス! オレ様の父上と母上がお前と話したいそうだぞ!!オレ様が戻ってくるまで相手をしてろ!!」

……。

イヤだって言ったところで「は〜ん? 聞こえないなぁ?」って言われるか

もっとヒドイことになることは分かり切っていたので2つ返事でOKした。

タバサも一緒に付いて来ようとしたけど、コリンズくんは

「誕生日なんだからお前はオレ様の相手をしろよ」みたいなことを言って

タバサと一緒にどこかへ行っちゃった…

ボクはちょっとむくれ気味だったけど

気を取り直してお父さん、お母さんとお話しているヘンリーさんとマリアさんのところに行って

「ボクとお話したいことって何ですか?」って聞いたら

お2人とも「???」って不思議そうなカオをなさったけれど

すぐにコリンズくんについての悩みを聞かされることになった…

でも、ヘンリーさんは酔っているのか、いつもより上機嫌で、いつもより大きな声で笑い

いつも以上におどけて見せてくれた。ヘンリーさんって、本当に良い方なんだなぁ、と思う。

こんな人が父親なんだから、コリンズくんだって絶対こうなれるハズなんだけどなぁ…

パーティーが終わる頃、コリンズくんとタバサが戻ってきた。

ヘンリーさんが、泊まっていけって言ってくれたけれど、グランバニアに残してきたサンチョが

良いカオをしないことが想像できるので、お父さんのルーラで帰ることになった。

お城に着くと、タバサはすぐにお風呂に駆け込んで行ったけれど

ボクは疲れからか、すぐに眠っちゃった。


次の日…


いつもだったら寝ボスケのボクを起こしに来るハズのタバサが来なかった。

よし! 今日はボクが起こしてあげよう!

と思って、タバサのベッドを見てみるけど、ベッドはからっぽだった。

タバサは屋上に居たんだけど、何だか元気がなかった。

食事をしている時も、勉強をしている時も、うわのそらのようだった。

周りには、元気がないことを悟られまいとしているみたいだったけれど

いつもタバサを一番近くで見ているボクには分かる。

きっとラインハットで何かあったんだ… コリンズくんに何か言われたのかな…

「ねぇ、どうかしたの? 元気ないみたいだけど…」

「ん… 何でもないよ、おにいちゃん」

聞いてみてもタバサは、可愛いけどどこか痛々しい笑顔でこう答えるだけ…

今までだったら、何でもボクに一番に相談してくれていたのに…

2日経っても、3日経っても、タバサの元気は戻らなかった。

プックルも心配しているようで、いつもタバサに寄り添うようにしている。

ボクは原因を突き止めるために、タバサには黙って、コリンズくんに会うためにラインハットに行こうと思った。

ミニモンはルーラを唱えた!


───コリンズくんの部屋

「ふ〜ん、タバサは元気がないのかぁ」

「うん。何か思い当たることはないかな? どんなことでも良いんだけど、原因が知りたくて…」

「原因なんかオレ様に解るもんかよ! そんな用事なら帰れ!!」

そう思ってミニモンと落ち合ったんだけど、ボクはそこでとんでもないことをミニモンから告げられた。

「ぼっちゃんぼっちゃん!! ワタシ、スッゴイこと聞いちゃったワッ!!」

「え? どんなこと?」

「街のワルガキどもの話を盗み聞きしてたらね!! どうやらタバサお嬢ちゃんがコリンズ王子に…」

「ミニモン! ストップ!!! もうちょっと人が居ない所で聞くよ…」

早く話を聞きたかったけど、興奮しているミニモンは声が高くて大きいから、関所の近くまで来てから話を聞くことにした。

「で、どんなことを話してたの? 何を聞いちゃったの?」

ミニモンは興奮気味だったので話が前後している部分もあったんだけど

つまりこういうことらしい。

パーティーを抜け出して、コリンズくんとタバサはコリンズくんの部屋に行って話をしたんだけど

その内容というのが、ようするにプロポーズだった。。。

それで、遠まわしに断ったタバサに、コリンズくんは部屋に隠れさせていた街の子分数人と一緒に

魔封じの杖をふりかざして乱暴したらしい…

ミニモンの話の意味をここまで理解した時に、ボクはもうラインハット城に向けて走り出していた。

許さない… 絶対に許さない!!

お城に入ってからコリンズくんの部屋に着くまでは努めて平静を装った。

爆発しそうな感情を押し殺して、コリンズくんの部屋にノックしてから入った。

「何だ、また来たのかよ。何度来られてもオレ様は何にも知らないからな!!」

「1つだけ教えてよ。キミは魔封じの杖でタバサの魔法を封じ込めたことはあるかい?」

「!!! な、なんだよそれ!!? ふふふふざけんなよっ!!! 何でオレ様がそんなことしなくちゃならないんだ!?」

明らかに慌てているコリンズくん。こうなったら全て認めさせてやる…

「タバサにプロポーズを断られたんだってね。街の子が言ってたよ。ここで何をしたのかも、ね」

「あ、あいつら〜〜〜ッッッ!! 黙ってろって言ったのに〜〜〜!!!!!」

「……事実なんだね? タバサに乱暴したことも…」

「あーあー、そーだよッ!! オレ様に恥を掻かせやがったからな!!!

 子分が親分に逆らったらどーなるか、身を持って教えてやったんだよ!!! フザけやがってッッ!!!!」

──こんな自分勝手なヤツに可愛いタバサが──

何かが、ボクの中で切れた。

ボクは憎たらしいコリンズの口を塞ぎ、部屋の壁に叩きつけた。

「こッの、や、ろ、ぉ…」

「むぐッ!!」

「タバサがオマエに味わわされた痛み!!! そのまま返してヤルッ!!!」

「…ひぃッッ!!」

そこから先はよく憶えてない…。

気が付いたときには、ボクはミニモンに連れられてグランバニアの門の前に戻っていた。

ミニモンに何がどうなったのか聞いてみたけど、お喋りなミニモンがあんまり話してくれない…

しばらくしても、ラインハットからコリンズについての連絡は無いし

ヘンリーさんもいつものペースでグランバニアに遊びに来ては、いつもの調子で帰っていった。

…おかしいなぁ、ボクはコリンズに対して何もしてないワケじゃないと思うんだけど…

何をしたのか記憶が全くないうえに、コリンズに会って確かめるワケにもいかないし。


──数日後

タバサの元気が少し戻ったような気がする。

前のように、よく笑い、よく甘えてくる… 可愛いタバサ。

そう、タバサが前よりも可愛く見える… 何でだろ?

その日の夜、タバサはボクと一緒に寝ても良いか聞いてきた。

いつもの甘えん坊なタバサの頼み事。もちろんOKと答えた。

「ねぇ、おにいちゃん」

「ん、なに?」

「私ね、コリンズくんにプロポーズされたの。コリンズくんの誕生日に。知ってるでしょ?」

「……うん」

「ソレ、断ったことも知ってる?」

「…うん」

「……じゃあ、断ったあとに何をされたかは…?」

「えっと……………タバサ、ミニモンにその話を聞いたのかい?」

「……。おにいちゃんが、元気のない私を心配して、ラインハットまで行ったことと

 コリンズくんにオシオキしてきたってことを聞いたよ」

やっぱりボクはコリンズに暴力を振るったんだよね…

マズイ… このままじゃ国際問題に発展しかねないんじゃないんだろうか…

お父さんやお母さん、そして愛しいタバサや、グランバニアの国民に申し訳ない気持ちでいっぱいになった…

でもでも!! コリンズがタバサにしたことはやっぱり許せない。

どうすれば良いのか分からなくて、ボクはタバサに泣きついた…

全てを話した…

タバサが乱暴されたことを知ったあと、コリンズの部屋に行ったけれど、その後の記憶がないこと。

チカラの差が歴然のコリンズに対して本気で乱暴してしまったのではないかと不安なこと。

もしそうならこの先どうすれば良いのか分からないこと。

でもタバサに乱暴をしたコリンズのことを許せないこと…

タバサはボクの話を最後までちゃんと聞いて、ボクの不安な気持ちを全て受け止めてくれた後、話し始めた。

「おにいちゃん、大丈夫だよ。何にも心配することなんてないの。私ね、今日ミニモンに話を聞いてからコリンズくんと会ってきたの」

「えッ!?」

「そしたらね、プロポーズのことは忘れてくれって言われたよ。あと乱暴したことも謝ってきたし

 それと、おにいちゃんがコリンズくんにしたことは絶対にヒミツにしてくれるって。

 その代わり、彼が私にしたこともヒミツにしてほしいって」

……??? え??? な、仲直りできたってこと!?

「タバサ… その、コリンズくんは無事だった? どこもヒドイ怪我とかしてなかった?」

「…おにいちゃん、ホントに記憶ないんだね… おにいちゃんはヒドイ怪我をするようなことなんてしてないんだよ?」

「そ、そうなんだ… 良かった… ホントに…」

「ついでに言うと、私も乱暴ってほどのことはされてないのよ?」

「…え、え????」

「プロポーズを断った理由が、彼にはとても納得できるものじゃなかったからなのかな。抵抗出来ないように魔封じの杖で魔法を封じられてから、彼の子分達に押さえつけられて無理矢理キスされただけよ?」

…タバサは少し笑いながら言ったけど、それだけでも十分にヒドイと思う…

ボクが想像してたのよりは100倍マシだけど…

「おにいちゃん、コリンズくんに、私と同じ痛みを与えるつもりだったって聞いたけど…私がコリンズくんに何をされたと思ったの?」

タバサはニコニコしている!!

「あ、あのさ!! ボクはコリンズくんに何をしたのかなぁ!?具体的に知ってる?? ほらっ! ボクって記憶dでるからさぁ!!」

ボクは話をはぐらかそうとしたけど、それがかえって墓穴を掘ることになってしまった…

タバサは少し小声になって話してくれた、が…

「…おにいちゃん、コリンズくんの着てるモノ全部めちゃくちゃにしちゃって今にもコリンズくんと、そ、その… う、うん!! とにかく!!!危ないところに(本当にアブないところに)駆けつけたミニモンのメダパニと甘い息でおにいちゃんを気絶させてルーラでグランバニアの前まで帰ってきたってことね」

「……(;゚д゚)    ツマリ ボクハ コリンズクント ケツゴウ スンゼン ダッタッテ コトカナ…」

「そ、そうなるねッ!!」

「('A`)ヒィィィィィィィィ!!!」

「だから、おにいちゃん… 私が何をされたと思ったのかなって♪」

あぁあああぁああああ!!! 聞かなきゃ良かった……

楽しそうな可愛いタバサ…

そんなこと、答えられるワケないじゃんか…

「た、タバサこそ、コリンズくんがとても納得しないようなプロポーズ拒否の理由って何なのさっ!?」

「そ、それは…… そのぅ……」

タバサはとても困っているようだった。

「えっと… うん…と……」なんて口をモゴモゴさせて、時々上目遣いでボクを見る。

何だろう? ボクに言えないような理由だったのかな? 気になるけれど、無理に聞くのは止めておこ うかなぁ?

でも困ったカオのタバサが可愛くて、もうちょっとだけこのカオを見ていたいと思った。

「なに? もしかして、他に好きな人がいるから、とか?」

こう冗談っぽく、からかうように聞いてみた。そんなワケないよね。

「違うもんッ!!」って、膨れっ面で答えるものだと思って…

もしそんな人がいるなら、一番にボクに言ってくるハズだもの。

でもタバサはカオを真っ赤にして押し黙ってしまった。もうボクのカオも見ずに下を向いている。

予想していた反応とあまりにも違う…

「………?? た、タバサ、まさか、ホントに好きな人がいるの!?」

「い、いるもん!! 私だって、好きな男の子くらいいるんだもん!!!」

タバサは耳まで真っ赤にしながらこう言った…

「うっそだぁ〜」

……ボクの心境が違えばこう言って、今の言葉を無かったことにしたかもしれない。

でも今はとてもそこまで頭が回らない。

───タバサに好きな男の子がいる! そんな……

「そ、そうなんだ… タバサ、好きな子ができたんだね… …うん、ボク、タバサの恋、応援するよ! あは、あはは、はははは…」

「うん… ありがと、おにいちゃん…」

「それじゃあコリンズくんも諦めるしかないよね!! 納得いかなくたって、仕方ないもんねぇ!!」

「……うん。そうなの。誰も納得してくれなくても、仕方ないの…」

「あぁ〜、何か色々安心したら眠くなっちゃった… タバサ、今日はもう寝よ?」

「うん、おやすみなさい。おにいちゃん」

「おやすみ!」


安心? とんでもない。余計眠れなくなっちゃった…

誰だ!? タバサは一体誰に恋してるっていうんだ!!!

テルパトールにいた詩人? 博物館にいた芸術家? ジージョとかクラウドじゃないよね?

まさかピピンやザイルかッ!? いやいやそんな馬鹿な…

いくら考えても答えは分からなかった。

隣で可愛い寝息をたてているタバサに、ボクは声を出さずに問いかけてみる。

キミのその笑顔を射止めたのは誰なんだい……?

なかなか寝付けなかったので、ボクはタバサをベッドに残して、屋上に出てみた。

寒い… もう春も終わりだっていうのに…

何度も何度も、ボクはため息をついた。頭の中はタバサのことでいっぱいだった。

くそぅ、何なんだよ、この何とも言えない気持ちは…

しばらくその場で地団駄踏んでいると、後ろに何かの気配を感じた…

「誰…?」

暗闇の中で光る2つの目、ケモノの息遣い… プックルだ。

プックルは、座り込んでいるボクを包み込むようにして腰を下ろした。あったかい。



「ゴロゴロゴロ…」

「プックル、ボクを心配して来てくれたんだね。ありがとプックル…」



プックルはきっと、タバサの元気がない時もこうやって慰めていたんだろうな。

落ち着く。まるでお父さんの腕の中にいるみたい…

そう、プックルにはお父さんと同じような温かさがあるんだ。

ボクもタバサももう大きいから、お父さんに抱きついて甘えることはしない。恥ずかしいもんね…

それを知ってか知らずか、プックルはお父さんの代わりを見事に果たしてる…

そして… プックルになら、お父さんにも言えない悩みを話すことができる…

ボクは言葉を話さない「もう1人のお父さん」に甘えることにした。

「ねぇプックル… タバサはね、好きな子がいるんだってさ。

 だからコリンズくんのプロポーズを断ったんだって。さっきそう言ってたんだよ… ボクね、はっきり言うと、ものすごくショックなんだ… だってタバサは、生まれた時からずーっとボクと一緒にいて、ボクと一緒に勉強して、ボクと一緒に遊んでボクと一緒に笑って、ボクと一緒に泣いて、ボクと一緒にお父さん捜しの冒険に行って、ボクと一緒に大魔王も倒して… 悩みがあれば、一番にボクに相談してきたし、いつもいつもボクに甘えてきたよね… そのタバサに… タバサに好きな子がいるって言うんだよ?」

ボクは最初はゆっくり話していたけど、だんだん早口になってしまっていた。

それでもプックルはボクを五月蝿がったりしないで、優しい目でこちらを見ている…

「普通… 普通のことなんだよね… タバサだって、普通の女の子だもん。好きな男の子くらいできるよね… で、でもね…」

お父さんのような優しいその眼差しが、ボクの心の中の本音を溶かしていく…

ボクはプックルの毛皮にカオを埋めて泣きながら言った。

「ねぇプックル… ぼ、ボク、タバサが好きなんだと思う… だって、タバサのことを考えるだけで、こんなに胸が苦しくなるんだもん… タバサが…タバサが他の男の子を好きになっちゃうなんて…い、イヤだ… やだよぉ、プックル… ふぇ、…ぇ……」

とんでもないことを言っている… きっとプックルもそう思っているに違いない…

ボクは久しぶりに泣き疲れるまで泣いて、そしてそのまま眠りに落ちていた。



翌朝



「おにいちゃん! こんなところで寝てぇ!! 風邪ひいちゃうよッ!?」

いつもボクを起こしてくれる愛しい人の声がする…

目を覚ますと、ボクはまだ屋上でプックルに包まれていた。

プックルはあれからずっとこうしてくれていたんだ… ありがとうプックル。

「もう! 部屋にいないから捜しちゃったじゃない!!」

「う〜… ごめんよタバサ…」

「早く部屋に着替えに行こうよ。 みんなが起き出してきて、ここで寝てたのがバレちゃうとサンチョさんがうるさいよ?」

「…う、うん」


自分の気持ちに気付いてしまったボクは、もうタバサのカオを直視できない…

プックルにありがとうを言ってから、ボクは部屋に向かった。

それから何日か経っても、ボクのタバサへの気持ちは変わらなかった。

打ち明けられるワケがない想いを抱きながら数日過ごしていて

ボクの様子が変なことに気付かないほど鈍感な妹ではなかった。

話しているときに目を合わせない、口数も少ない、時々ボーッとタバサを見つめる、タバサが見つめ返

すと目を逸らす…

これでは気付かない方がおかしいかも知れない…

「何かあったの? 悩み事があるんなら、相談してねおにいちゃん…」

って言ってくれるんだけど、相談できるものなら最初から悩んでないんだよタバサ…

あ… そうだ!! ラインハットに行こう!!

コリンズくんならタバサの相手が誰か知ってるだろうし、この前のことも直接謝りたいし!!

そう思ったらいてもたってもいられなくなって

この前の救世主ミニモンを連れてラインハットに向かった。


──コリンズくんの部屋

「よ、よぉ… げ、元気だったか…?」

「うん… あ、あのね、この前はホントにごめんなさい…」

「あー!! あー!! 良い!!! 良いんだよッ!!!! そんなことはッ!!!!」

「でも、ちゃんと謝りたくって…」

「だーかーらぁー!!! もう良いんだって!!! お、オレ様だって、悪かったんだし、な…」

「コリンズくん… ありがと」

「ところで、タバサに聞いたんだがオマエ、あの時の記憶がないって、ホントなのか!?」

「う、うん… でも、何をしちゃったのかは教えてもらったから…」

「そ、そうなのか… ま、まぁアレだ!! もうこの話は終わりだ!! 良いな!?」

コリンズくんは真っ赤になってボクに言った。

コリンズくんにしてみれば「テイソウの危機」だっただけに、早く忘れてしまいたいんだろう…

なので、ボクはもう1つの目的を果たそうと、コリンズくんに聞いてみた。

「コリンズくんはさ、タバサに振られちゃったカタチになっちゃったんだけどさ…

 その理由って、タバサには他に好きな人がいるから、なんだよね?」

「!!!!  あ、ああ、そうだな…」

「あ、あのさ、その、タバサの好きな人って、コリンズくんは知ってる?」

「オマエは知らないのか?」

「うん…」

途端にコリンズくんはお腹を抱えて笑い出した…

「うわーーーははははははははは!!!!! そ、そりゃそーだよなッ!! 知るはずないよ!!! あはっ、あははッ!!! く、苦しいぃ〜〜〜ッ!!!」

な、何なんだ一体…? でもやっぱりコリンズくんは知ってるんだ、タバサの相手を…

「ねぇ、頼むよコリンズくん。ボクにも教えてよぉ」

「ダメだなぁ、教えられないよ、こればっかりはッ!!!」

「む〜っ… お願い!! 教えてくださいッ!! 何でもするから!!!」

ボクは頭を下げて頼んだ。

そしたらコリンズくんは気分が良くなったのか、教えても良いと言ってきた。

「ただし!! 条件があるぞ。何でもするって言ったよな!?」

「う、うん… 何でもするよ…」

「じゃあ… オマエ、オレ様にベアハッグを掛けてみろ!! 思いっきりだ!!!」

「は、はぁ!? でもそんなことしたらコリンズくんが怪我しちゃう…」

「良いから言われたとおりにしろよッ!!」

コリンズくんが何を考えているのか全然解らなかったけど、とりあえず言うとおりにしよう…

そうすればタバサの相手が分かるんだから…

「じゃあコリンズくん、ホントにやるよ? ちゃんとギブアップしてね?」

「ああ!! 早くやれ!!!」

「じゃあ…」

ギュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!

あ゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!

「こ、コリンズくん!!! 大丈夫!? 一応ちゃんと加減はしたんだけど…」

「だ、大丈夫だ… オマエの回復魔法はすごいな…」

「えっと、それでコリンズくん… タバサの…」

「あーあー!! 分かってるってばッ!! オマエ、タバサにこう言ってみろよ。 『タバサの好きな人、分かったよ。コリンズ親分に聞いたんだ』ってな。 その時に肩に手を回してたりしたら最高だぜッ!!」

「こ、コリンズくん… でもボク、まだ何も聞いてない…」

「良いからタバサにさっき言ったことを言って来い!!そうすりゃタバサが勝手に吐いてくれるぜ!!」

「え〜〜??」

「ほらっ!! 早く行けよ!!!」

ボクは半ば追い出されるようなカタチでラインハットをあとにした…

ヘンなコリンズくん… 結局ベアハッグの意味もワケわかんなかったし…

とりあえず、コリンズくんの言うとおりにしてみようかなぁ…


その日の夜

タバサはまたボクと一緒に寝たいと言ってきた… これは好都合、早速言われたことをやってみよう。

「良かった… 最近おにいちゃん、私のこと避けてるみたいだったから… 断られるんじゃないかと思った…」

「さ、避けてなんかいないよっ…」

どうしよう… まだタバサのカオをまともに見れない今のボクにアレが実行できるだろうか…?

そんなことを考えているうちに、もうベッドの中に入ってしまった… 重い沈黙が続く…

タバサの方を見てみる。タバサもボクの方を見ている…

言え。言うんなら今だ… 何とかこの沈黙を破って、声を出そうと試みる。

そして、まさに声を出そうとしたその瞬間。

「ねぇ、おにいちゃん… 私ね、おにいちゃんの好きな人、分かっちゃった…」

「え!?!??!?!?!!?!?!?!?」

な、なに? 何が起こったんだ!? 誰かパルプンテでもしましたか!?!?!?

どういうこと!? それってボクが言う台詞じゃなかったっけ?????

「ななななななな何を言ってるんだよタバサ!!! ぼぼぼぼぼぼボクに好きな子なんて!!!!!」

「…いないの?」

「い、、、いる、けど…… で、でも誰か分かっちゃったって… ボク、誰にも言ってないのに…

 タバサみたいにコリンズくんに言ったりもしてないよ!?」

「……そっか… コリンズくんに聞いちゃったんだ…」

あー!!あー!! 何なんだこの展開はぁ〜〜〜〜!!!!

ボクは誰かに言っちゃったのか!?

また記憶がdじゃったのか!? わかんないよーーーーーー!!!!

「おにいちゃん、誰にも言ってないって言ったけど、それはウソね」

「えぇ!? ホントだって!! ホントに誰にも言ってないんだよッ!?」

その時、部屋のドアが開いて、誰かが入ってきた…

誰だろう? そう思って身体を起こすと、なんとそこには上目遣いのプックルがいた…!!!

あぁ… 言った。確かに言ったよ。プックルには… でもプックルだよ!? 何で!?

ボクは「はッ!!」と気が付いた。

そうだ… タバサは不思議なチカラがあって、動物や魔物と話すことができるんだった…

「おにいちゃん… おにいちゃん、大好き…」

タバサはそう言って、ボクの背中に抱きついてきた。

「え、え!?」

「コリンズくんに聞いたんなら、もう私の気持ちも知ってるんでしょ…? おにいちゃん…」

あ、ああ、そうか、そういうことだったのか…

ボクは、全てを理解するのにちょっと時間が掛かったけど

後ろから抱き付いている愛しい人の方に向き直り、こう言った。

「タバサ… タバサ… ボクも世界で一番、タバサのことが好きだよ…ッ!!」

「…おにいちゃん、大好き… 愛してます…」

今まで言いたくても言えなかった言葉を交し合い

触れたくても触れられなかったお互いの唇をボク達は夜遅くまで重ねあった…

部屋の中にいるプックルは、普通の飼い猫のように素知らぬフリをしている…

ありがとう、プックル…


同刻


──コリンズくんの部屋

「あーあー、まったくオレ様ってヤツは…

 ライバルにむざむざ差し出すようなマネをしちまったぜ… ホンッット馬鹿だぜ…

 でも忘れられないな… あの日のこと… そして…

 さっきのベアハッグの時に触れたアイツの身体……

 ………

 あーあー!!!!


もうオマエはオレ様のハートをガッチリキャッチしちまったぜ!! レックス〜〜!!!!」







…('A`)END


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