DQ外伝〜思ひ出〜
微かに人の声が聞こえる。
「フゥ、やっと見つけました。・・・それにしても、未来の私も物凄い考えを思いつくものですね・・・。」
男達はレックス、タバサを抱きかかえ天空城に連れて行く。その男とは、プサンであった。
それから何日か経ったとある昼下がり。レックスは暖かい日差しを浴び目を覚ます。
「ここは・・・?」
辺りをキョロキョロと見回すレックス。身体を起そうとすると、激しく痛みがレックスを襲う。
「アイテテテ・・・。」
「どうやらお目覚めになりましたかな?」
部屋の扉が開き、プサンが顔を覗かせる。
「プサンさん・・・!じゃあやっぱりここは天空城?・・・あ、タバサは?タバサはどこに?」
「まぁまぁ、落ち着きなさい。ゴホン、えー勇者レックス。よくぞエスタークを倒してくれました。お礼を言います。ありがとう!」
プサンはレックスに歩み寄り、レックスの右手を両手でギュッと握る。
少し照れくさそうにレックスが笑うと、先ほどの質問に答えるプサン。
「それでですね、妹君のタバサさんは、まだ目を覚ましておりません。」
「え?どういう・・・意味ですか・・・?」
レックスの笑顔が曇り、プサンの目をじっと見つめてそう問いかける。
「ハイ、どうやら彼女は禁呪を使ったようですね。えーっと、マダンテでしたかな?
あの呪文は自らの魔力を全て解放するという恐ろしい呪文なのでして・・・」
「プサンさん!そんなことより、タバサは?タバサは無事なんですか?」
プサンの長々とした禁呪の説明に口を挟むレックス。その必死の形相に少し慌てるプサンは、タバサの容態を説明しだす。
「タバサさん、彼女は物凄い魔力を持っております。その回復がまだ間に合ってないのでしょう・・・。今は、ただただ眠っておられるのです。」
「そうですか・・・。」
ホッとするレックス。まずは、傷を癒し、タバサが目覚めてから元の世界に戻してもらうと納得し、プサンは部屋を後にする。
翌日、まだ身体の傷は完全に癒えてはいないのだが、窓を開け、透明な空気を胸いっぱい吸い込むレックス。
1秒でも早くタバサの顔が見たかったのだろう、こっそり部屋を抜け出す。
「たしか・・・ここにいるはずなんだよね・・・。」
静かに扉を開けるレックス。ベッドの上では、タバサがスースーとかわいい寝息を立てていた。
レックスは歩み寄り、ベッドの側の椅子に座り、タバサの前髪を優しく触れる。
「タバサ・・・早く目を覚まして二人で元の世界に帰ろう。
そして、僕たちの事を父さんや母さんに教えるんだ。フフッ、ビックリするだろうね・・・。」
そう微笑みながらタバサの寝顔をじっと見つめるレックス。そして静かにレックスの唇がタバサの唇に触れようとしたその時・・・!
白くて綺麗な手の平がレックスの口を押さえる。目を開けるレックス。
「ダメよ、お兄ちゃん。」
そこには目をパチリと開けたタバサが優しくレックスに微笑みかけていた。
「タ、タバサ・・・起きて・・・たの?」
フルフルと首を振るタバサ。
「お兄ちゃんとキスする夢見たから・・・今度はちゃんと起きなきゃ・・・って・・・。」
そういって二人は唇を重ねる。何度も・・・何度も・・・。
「ねぇ・・・タバサ・・・?」
「なに?・・・お兄ちゃん・・・。」
「どうやって・・・過去に・・・来たの?」
「・・・わからない・・・。お兄ちゃんの心が私の心に入ってきて・・・助けたい!って・・・思ったら・・・
光に包まれて・・・。」
「・・・じゃあ・・・その髪は?」
「これは・・・き、気分転換?」
「フフ・・・。」
「・・・エヘヘ・・・。」
DQ外伝〜思ひ出〜 完