DQ外伝〜ふたり〜
天空城を朝日が照らす。二人はプサンに呼ばれ、玉座の間に訪れる。
そこにはプサンが大きな玉座にチョコンと腰を掛けている。
「おはようございます。そろそろ元の世界に戻りましょうか・・・。」
二人は頷き、プサンは胸元からドラゴンオーブを取り出し静かに瞑想を始める。
途端にマスタードラゴンへと姿を変え、時の砂の呪法を唱え始める。
「二人とも、改めて礼を言う。・・・本当にご苦労であった。」
金色の渦が二人を包み、彼らのいた世界に戻って行く・・・。
元の世界では、二人の帰りを待っていた両親が笑顔で迎えてくれた。
「おかえり、レックス、タバサ。本当にお疲れ様・・・。」
レックスとタバサは走り寄り、両親の胸に飛び込む。
「ただいま・・・父さん・・・母さん・・・。」
「ただいま戻りました・・・お母さん・・・お父さん・・・。」
それから何日か経ったグランバニアの朝、窓際の小鳥のさえずりでレックスはフッと目を覚ます。
「ふわぁ〜あ・・・そろそろ起きなくっちゃ・・・。」
身体を起そうとすると、自分の隣に誰かが寝ているのに気づく。
「タ、タバサ?な、なんでベッドの中に???」
その声で目を覚ますタバサ。にっこり笑ってこう答える。
「ん〜?あ、おはよう・・・お兄ちゃん。な、なんとなく・・・ね?」
「も、もう!父さんや母さんにバレたらどうするんだよ!」
「え〜?大丈夫だよ・・・。それより、お兄ちゃん。歯軋りするクセ直ってないのね・・・ふぁ・・・。」
レックスは慌てて口を押さえる。
「あ、ごめん・・・。もしかして寝れなかった?」
タバサは目をこすりながらフルフルと首を振る。
「ん〜ん。あ、あのね、お兄ちゃんが歯軋りしてる時にチュ〜すると歯軋り止まるの!すごいね!」
「バ、バカ!そんなことは発見しなくていいんだよ・・・。」
レックスは顔を真っ赤にしてベッドから降りようとする。それをタバサは袖を掴んで引き止める。
「あ、待って!お兄ちゃん!」
振り返るレックス。少し寝癖のついたタバサの頭を見て噴出しそうになるのをこらえていると、タバサが口を開く。
「おはようのチュ〜は?」
レックスはクスッと笑ってタバサと口付けをする。
「(今日もお兄ちゃんと一緒にいられますように・・・。)」
そう心の中でお願いをするタバサ。
昼時、バルコニーで一人物思いにふけるレックス。
「父さんや母さんになんて説明しようかな・・・。」
すると、向こうの方からタバサが走り寄ってレックスに飛びつく。
「お 兄 ち ゃ ん!何黄昏てるの?」
まるで尻尾を喜んで振っている仔犬のようなタバサ。その頭をグシグシと撫でレックスは答える。
「ん?ああ、父さんや母さんに僕らの事をどうやって説明しようかなぁって思っててね。」
あのエスタークとの戦いの後でタバサは今まで以上にレックスへの愛情表現が露骨になっていた。
いつかバレてしまうとハラハラドキドキするレックスをよそ目に、タバサは抱きついたり、物陰でキスを求めてきたり・・・。嬉しくないわけではないレックスなのだが、
タバサの積極的ぶりにはどうも調子が狂ってしまう。
「(この前までは僕の方が主導権握ってたのにな・・・。)」
まったく嬉しい悩みだ。
このままタバサにズルズル引き込まれちゃしゃくに触ると考え、
タバサの小さな額にデコピンをして愛情表現をするレックス。目をパチクリとさせてタバサが答える。
「はにゃ、痛いじゃないお兄ちゃん!」
「誰かに見られたらどうするのさ?ホラ、行くよ・・・。」
そう言って歩き出すレックス。タバサはそれを早足で追いかける。
「待って〜お兄ちゃ〜ん!」
やがて夜になり、レックスは部屋で本を読んでいる。珍しい事もあるものだ。
本の題名は『両親への恋人の紹介の仕方』。それを読んでレックスはため息ばかりが出る。
「ハァ〜、やっぱり『兄妹の場合』なんてのは載ってないか・・・。」
ブスーッとした顔で椅子に背もたれるレックス。するとノックの音が聞こえ、タバサが顔を覗かせる。
「あ、お兄ちゃん起きてる?」
突然の訪問に驚き、本を急いで隠すレックス。その行動を見ながらタバサは
「あー、今エッチな本読んでたでしょー?」
レックスは笑って誤魔化しながら
「あはは、違うよ〜。それより、どうしたの?」
そう言うと、モジモジしながらタバサが部屋に入ってくる。
「えへへー、見て見て!これ、今度の親睦会で着ようと思ってる服なの!どう・・・かな?」
いつもの大人しめのドレスとは違い、少し肌が露出されていて、スカートも短目だ。
「カワイイよ。」
レックスに誉められたタバサは顔を真っ赤にさせて喜ぶ。
「本当?、ありがとう!でも、ちょっとスカートが短いのよね・・・。」
そう言ってスカートの辺りを気にするタバサ。
そして、おもむろにタバサはレックスに近づきコアラの様にレックスの膝の上に座る。
レックスはその大胆なタバサにドギマギしつつ
「ど、どうしたの・・・タバサ?」
「うん、ちょっと・・・甘えたい気分・・・なの・・・。」
甘えたいのはいつもだと言いたかったレックスだが、二人は真っ赤な顔をして微笑みあう。
こうして夜は更けていく。
月明かりが二人の影を窓辺に写す。
それを見上げる男女が二人。
「あなた、あの子たちバレてないつもりなのかしらね・・・。」
男はにっこり微笑みながらこう答える。
「まあ、そのうち自分たちから言うんじゃないかな?それまで僕らは何も言わないでいてあげよう・・・。」
「そうね・・・。」
そう言って女は男に肩を抱き寄せられ、身をゆだねる。
DQ外伝〜ふたり〜 終