ペコ氏のSS…2

DQ外伝〜約束〜 第2話


翌朝、グランバニアより遥か西にある王国ラインハット。お城のバルコニーで空を見上げながら一服する男に、たったいまルーラで到着したであろうタバサが近づき話しかける。


「こんにちは、ヘンリーおじさま。」

お姫様のような挨拶のしぐさをすると、ヘンリーはタバサの方を向きこう答える。

「おや、君は・・・タバサちゃーーーん!!」

「キャッ!」

いきなり抱きつくヘンリーの後ろに、彼の妻マリアが現れ

「あなた、何をなさっているんですか?」

笑顔なマリアだが、それがまた・・・怖い!

「あ、マリアおばさま。こんにちは。」

「まままm、マリア!?い、いやータバサちゃんが2ヶ月ぶりに来たものでおじさんちょっとうれしくなっちゃって、ハ、ハハ・・・。」

「やだわ、おじさまったら。1週間前に兄と遊びにきたじゃないですか。」

あわてて言い逃れをしようとするヘンリーをよそに、タバサはクスクス笑いながらマリアの方へ駆け寄る。

「あ、あれ?そうだったっけ?最近物忘れがひどくてね、アハ、アハハハ。」

「それで、あの、コリンズくんはどちらにいますか?」

「コリンズ?たぶんあの子なら自分の部屋じゃないかしら?」

「ありがとうございます。早速行ってみます。」

「いやぁ、それにしても綺麗になったなぁ、タバサちゃん。是非ともうちのバカ息子のお嫁さんにしたいよ、うん。」

小走りするタバサの左右に揺れるお尻を見てニヤニヤしながらしゃべるヘンリーの耳を引っ張りマリアが笑顔で語りかける。

「それは本人同士が決めることですわ。それよりあなた、ちょっと・・・。」

「イテ、イテテテ、待て、マリア!あれはつまずいただけなんだってって・・ミギャアアア!!!」

部屋の前でノックをすると、低い声の青年がこう答える。

「はーい、開いてるよー。」

扉を開け、中にはいり笑顔でタバサがこう言った。

「こんにちは。コリンズくん。」

「ん?おーータバサちゃーーーん!!」

タバサに駆け寄り抱きつこうとするコリンズ、しかし・・・


バシッ!会心の一撃!!タバサはコリンズに236のダメージ!!


「まったく、コリンズくんもおじさまもホンット『親子』だって感じがするわ!」

「いててててて、まあカエルの子はカエルって言うしな♪で、どうしたんだ?今日は。レックスと一緒じゃないみたいだけど・・・。あ!あれか!?3年前のプロポーズの返事でもしにきてくれたのか?」

うれしそうに頬に残ったビンタの跡をさすりながら話しかけると

「バーカ、あれは3年前にちゃ〜〜〜んと断ったじゃない。それに知ってるでしょ?私の好きな人はお兄ちゃんだって!」

少しムキになりながら答えるタバサ。


そう、コリンズは3年前にタバサにプロポーズをし、ものの見事にフラれてしまっているのだ。そしてその時、彼女は自分の好きな人がだれなのかをコリンズに話し、もちろんだがレックス本人だけでなく他言無用だと約束させている。

その約束を守れなかったら魔力最大級のイオナズンをお見舞いさせられるコリンズにとっては守らなければならない約束となっているのだ。

タバサにコーヒーを差し出し、椅子に座らせるとコリンズは壁にもたれかけてあきれた顔で

「ったく、アイツのどこがいいんだか・・・。」

そう話すとタバサは、ムッとした顔つきで

「お兄ちゃんを悪く言う人はキ・ラ・イよ!」

「まーまてまて、オレはアイツの無二の親友だぜ?本気でそう思ってるわけないだろ。で、今日は何しに来たんだよ?」

これ以上意地悪すると身の危険を感じたのか、すぐにコリンズは話題を変えた。するとタバサは受け取ったコーヒーを一口飲むとこう話し始めた・・・。

「うん、実はね・・・。」

太陽が真上に昇りついた頃、グランバニアではレックスが目を覚ました。

「・・・やばい、もうお昼だ。起きなきゃ!」

ベッドから飛び上がるとレックスは急いで服を着替え始めた。

「今日はコリンズくんに話したいことがあるんだよなぁ、タバサ・・・まだ部屋にいるかなぁ。」

調理場へ行き、朝食のパンの残りを食べながらタバサの部屋へと向かうレックスだが部屋にはいず、しかたないのでパンをほお張りながらウロウロしていると、彼の後ろから女性が怒鳴りつけた。

「コラ!レックス!なんですかはしたない。」

「(ギクッ)ごめんなさい・・。それより、タバサ見なかった?」


レックスが振り返るとそこには、あれから7年前たった今でもその美しさは衰えはせず、二人の母であり、国王アルスの妻であるビアンカが立っていた。


「タバサ?あの娘なら朝早くラインハットに出掛けるって言ってたわよ。コリンズくんに会いに行ったんじゃないかしら?あの二人、いつのまにそんな関係になったのかしらねぇ・・。」

ビアンカがクスクス笑いながら自分の部屋へ戻るとレックスは少し悲しい顔をして
「そっか・・やっぱりあの二人は・・・ううん、今はこんな事考えても仕方がない、ラインハットまでどうやって行こう・・・。父さんは仕事が忙しいだろうし、メッキーは・・・ラインハットのヘンリーさんの所に預けてるしなぁ・・・。」

そうレックスが悩んでいると、部屋の扉が開き、ビアンカが顔だけ出してこう言った。

「あ、そうそう。お父さんの所にヘンリーさんが来てるからあとで挨拶してらっしゃいね。」

その言葉を聞くと、レックスはビアンカを問い詰めるように

「え?ヘンリーさん来てるの?メッキーで?どこ?どこにいるの、母さん!」

部屋の扉が閉まらないように身体をはさむレックス。ビアンカは少し驚きながら

「ちょ、ちょっと。どうしたのこの子は!ヘンリーさんならたぶんお父さんの部屋じゃないかしら?それに『さっきタバサちゃんに会った』って言ってるからきっとメッキーのルーラで来たわよ。」

「ありがとう!母さん!父さんの部屋だね!」

そう答えたレックスは駆け足でアルスの部屋へと向かった。

「コラコラー!お城の中を走るんじゃありませーーん!」

遠くで母の叫ぶ声がするが、今のレックスには何も聞こえてないだろう。そのままアルスの部屋へ行くと、勢いよく扉を開けた。

「父さん!ヘンリーおじさんは?」

いきなり入ってきたレックスに二人は驚き

「コラ、レックス。ノックもせずにどうした。まったく、ほらヘンリーにキチンと挨拶して。」

おおかた二人でHな本でも見てたんだろう。すぐさまテーブルの上の本を隠すと、ヘンリーは立ち上がり、レックスの方を見てこう言った。

「よぉ、レックスくん。ぇーっと1週間ぶりかな?元気にしてたかい?」

「こんにちは、ヘンリーおじさん。あれ?どうしたの?その引っかかれたようなキズ跡・・。」

ヘンリーの頬には今朝、マリアの長く綺麗な爪で引っかかれた後が少し赤くなっていた。

「ん?いや、なんでもないよ。それよりそんなに急いで俺に会いに来て・・・うれしいねぇ。」

ニヤニヤしているヘンリーをよそ目に、レックスがづかづか部屋にはいり辺りを見回しこう言う。

「そんなことより、メッキーは?一緒に来てるんでしょ?」

ちょっと残念な顔をするヘンリーに「まったく、誰に似てこんなに慌しい子になったんだ」とあきれた顔をするアルス。そんなことはお構いなしに部屋中を歩きメッキーを探すレックス。すると、勢いよく開けた扉の向こうからメッキーの声が・・・!

「ク、クエェ・・・。」

その声を聞いてハッと振り返るレックス。扉の方へ歩み寄り、ソッと扉と壁の間を覗くと・・・

「メッキー!こんな所にいたのかい!ワッ!なにこのケガ・・・一体だれがこんな事を・・・。」

「いや、お前だから。」

アルスとヘンリーが素早くレックスに突っ込む。

しかし、当の本人のレックスは

「大丈夫かい?メッキー。」

そう言ってメッキーを優しく抱き上げると・・・

メッキーは怯えている。

「ベホマ。・・・よし、これでもう大丈夫だよ。メッキー、悪いんだけど僕をラインハットまで飛ばしてくれないか?」

淡い青色の光に包まれるメッキー。みるみるうちにキズが回復していく。

メッキーは怯えている。

「どうしたんだい?メッキー。はやく僕を飛ばして く れ な い か ?」

メッキーはルーラを唱えた!

「じゃあ父さん、帰りはタバサと一緒に戻ってきますから!行ってきます!」

消え行くレックスを止めるように手を伸ばし、ヘンリーがこう叫ぶ。

「おーい、レックスくーん。俺は帰りはどーやって帰ればいーんだよー?っておーーーい!!あーあ、行っちゃったよ。」

すこし唖然とする二人。アルスがヘンリーにこう言う。

「しょうがない、帰りは僕がルーラするよ。」

その言葉を待ってました!といわんばかりな顔をしてヘンリーはこう答える。

「お?悪いねぇ、じゃあすこーしばかし遅くなってもいいわな。よし、今日はもう仕事終わったんだろ?飲もうぜ!ホラッ!」

「おいおい、マリアさんに怒鳴られてもしらないぞ?まったく・・・。」

アルスもまんざらでもなかったのだろう。食器棚からグラスとワインを持ち出し、ヘンリーと『結婚する前とした後では女は怖くなる』を題材に真昼間だというのに飲み始めた。


DQ外伝〜約束〜 第2話・完


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