ペコ氏のSS…7

DQ外伝〜約束〜 第5話


家族4人そろっての昼食の席。アルスは食事の手を休めレックスにこう言う。

「レックス、食事が終わり仕度が出来たらすぐに試練に出発してもらうけどいいかな?」

その言葉にレックスは

「はい。わかりました。」

二人の会話を聞いてタバサも食事の手を休めアルスにこう聞いてみる。

「え?今日やるの?じゃあお父さん!私、私お兄ちゃんと一緒に行ってもいい?」
突然の申し出に食事を喉に詰まらせ胸元をドンドンと叩くアルス。その横でビアンカが心配そうな顔をしてアルスに水の入ったグラスを手渡す。

その水を一気に飲み干し、フゥと一息ついてアルスがこう答える。

「か、かまわないよ。レックス、どうする?」

レックスは二人の会話を聞いた後タバサを見て

「いえ、僕一人で行きます。ごちそうさまでした、仕度・・して来ますね。」

そう言って席を立ち、部屋をあとにするレックス。すぐにタバサがレックスを追いかけるように部屋を飛び出る。

お城のバルコニーを通り抜けようとする辺りで、タバサがレックスに向かってこう叫ぶ。

「まってー!お兄ちゃーん!どうして一人で行くの?私と一緒なら帰りはルーラですぐお城に戻れるじゃない!」

タバサの方を振り向いてレックスは

「ありがとう。でもこれは、僕の試練だから!」

そう言ってにっこりと微笑むレックス。タバサは無意識に彼の口元に視線がいってしまう。

「そっか・・・。(お兄ちゃんの唇・・・私たち、本当にキスしちゃったのか・・・聞いてみようかな・・・。)」

しばらくの沈黙が続き、

「お、お兄ちゃ・・」

「タバサ!」

二人は同時に呼び合いドキッとするタバサ。レックスは続けて

「なに?タバサ?」

「お、お兄ちゃんから・・どうぞ!」

タバサはすぐさま答えレックスに背を向けた。

「うん、この試練が終わって・・・お城に戻って来たら、話したいことがあるんだけど・・いいかな?」

レックスがそう言うと、

(え?もしかして愛の告白?あーだめだ、昨日のことが頭から離れなくて変な妄想ばっかりしちゃうよー!?!)

真昼間からタバサの妄想は暴走していた。頭の中がピンク色だった。

(今はお兄ちゃんの方向けれないな・・・あー顔があついよー!絶対真っ赤っかだ!!)

頭を抑えて右に左に体を揺らすタバサの背中を見てレックスは

「あ、あの・・タバサ?聞いてる?」

その言葉に妄想の世界から戻って来たタバサはこう答える。

「う、うん。わかった。お話・・・待ってます・・・。」

そう言ってタバサは自分の足元をじっと見つめた。


仕度が済んだレックスがアルス王のもとへと足を運ぶ。そこにはサンチョ、オジロン、ビアンカ。そしてピピンが顔をそろえていた。彼らからの激励の言葉を受け、レックスは城を出る。

その後ろ姿をバルコニーから見つめるタバサ。

「お兄ちゃん・・・がんばってね・・・。」

グランバニアを出て東へ歩き始めるレックスを、父アルスの出掛け前の言葉が頭をよぎる。

「レックス、かつての大魔王ミルドラースが倒されてから悪いモンスターはいなくなった。けれども、ここ数年ではまた人々を襲う事件が少しずつであるが起きているのは知ってるよね?くれぐれも自分の力を過信しすぎないように・・いいね?」

レックスはその言葉を何度も頭の中で思い出した。

そして試練の洞窟へと到着し中にはいる勇者レックス。石像の仕掛け、扉を開けると大量の水が押し寄せてくる仕掛け、不思議な床の仕掛けをくぐりぬけ王家の証が入ってる宝箱の間へと到着する。

宝箱に腰を掛けた男がこちらに気づき手を振っている。それを見たレックスはその男の元へと駆け足で近寄り

「あれ・・・、コリンズくん?どうしてここに・・・?」

此処に居るはずのないコリンズを不思議に思うレックスはそのまま話を続ける。

「ビックリしたよ!そこに入ってる王家の証を持って帰れば試練は終わりなんだ!そうそう、サンチョさんがお祝いにケーキ作ってくれるんだ!お城に戻って食べない?」

コリンズは立ち上がり無言でレックスの方へと歩み寄り彼の背中へとまわる。

その姿を目で追うレックスだが、まずは目の前にある王家の証を取ろうと思い宝箱に歩み寄る。静かな洞窟に宝箱の開くきしんだ音が響き中を見るとレックスは呆然とした。

「あれ?証がない・・・?」

そう言うとレックスの背中を見つめるコリンズが口を開く。

「証って、これのことか?」

その言葉に勢いよく振り返るレックス。コリンズは前に出した右手から王家の証をちらつかせた。

「そう!たぶん・・・それ!でもどうしてコリンズくんが?」

その問いにコリンズは王家の証をポケットにしまいレックスの目を見て

「レックス・・・剣を・・抜け!」

そう言ってコリンズは自らの剣を抜きレックスに斬りかかる!

その一撃を後ろにジャンプしてかわすレックス。彼も背中に背負った剣の柄を握りこう叫ぶ

「ど、どうしたの?コリンズくん!」

レックスの話に耳を傾けようとしないコリンズは続けてレックスを薙ぎ払った!

その攻撃を自らの剣を抜き受け流すレックス。

「ちょ、ちょっと、コリンズくん!・・・本気・・なのかい?」

にわかに信じられないレックス。しかし彼に考える暇を与えないかのように連続で攻撃を仕掛けるコリンズ。

「(まさか・・・モンスター?ジェリーか!?)」

そう結論を出したレックスは相手がモンスターならば仕方ないと判断し魔法を唱える!

「ベギラマ!」

炎と閃光が地を這いコリンズを襲う!それをジャンプ一番かわすが、しかし、それに追い討ちをかけるレックスの一撃が彼が受け流そうとする剣を弾き飛ばす。

そのまま倒れ込むコリンズの喉元に剣を突きつけるレックス。そして・・・

「だーっ降参だ!レックス、オレの負けだ!!」

コリンズが両手を上にあげてレックスに叫ぶ。

「え?じゃあやっぱり本物のコリンズくん?」

そう言って剣をしまうレックス。立ち上がりお尻を払ったコリンズはポケットから王家の証を取り出す。

「ああ、お前の親父さんに頼まれてな。是非相手をしてやって欲しいって。これが試練なんだとさ!」

コリンズの言葉に驚くレックス。そして取り出された王家の証をもらおうとするとコリンズはこう言う。

「待った!」

「え?」

「さっきのは親父さんからの試練だけど、次はオレからの試練だ!」

「う、うん。」

しばらく沈黙が続く二人。コリンズはレックスの目を睨みつけ

「お前・・・タバサちゃんを幸せに出来るか?」

レックスはその問いに黙りこむ。両手をギュッと握りレックスもコリンズを睨みつけ

「ああ、してみせる!」

その言葉を待っていたかのように笑うコリンズ。そして王家の証をレックスに渡し

「OK、合格だ!これ持って行って来い!」

受け取った王家の証を握り締め、コリンズにうなずいたレックスはそのまま出口へと走り出した。

彼の背中を見送ったコリンズは天井を見えげて

「・・・幸せにしてもらえよ・・・タバサちゃん・・・。」

外に出たレックスはその足を止めることなくグランバニアに向けて走り出す。

足早にアルスの元へと向かったレックスは王家の証を見せ

「グランバニア第一王子レックス。王家の試練より証を手に入れ只今到着しました。」

そう言って証をアルスへと渡した。

「思ったより早かったな、レックス。おめでとう!さあ、これから宴の準備に取り掛かる。

部屋で休んでいなさい。」

そう言ってレックスの肩をポンッと叩く。レックスはタバサを探しに部屋を出た。

この想いを伝えに・・・

同じ頃タバサは、父アルスと母ビアンカの最初の友達プックルの散歩をお城より少し北の湖まで足を伸ばしていた。

静かな湖畔を歩きながらタバサはプックルに話掛ける。

「ねえ、プックル。お兄ちゃん話があるって言ってたけど、なんだと思う?」

その問いにプックルは首をかしげて

「ガルル・・・」

クスッと笑うタバサはプックルの頭を撫でながら話を続ける。

「お前にはわからないか・・・。でももうすぐ帰ってくるんだよね・・・お兄ちゃん・・・。」

再び歩き始めたタバサとプックル。すると森の方から勢いよく飛び出てくる人影が・・・


DQ外伝〜約束〜 第5話・完


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