いつからだろう・・・まばたきする時間も惜しくなるほどお兄ちゃんを見つめるのに忙しくなったのは・・・
いつからだろう・・・お兄ちゃんの仕草の一つ一つが私の心を惑わすようになったのは・・・
いつからだろう・・・ふと触れた指先で息切れするほど私の鼓動が高鳴りはじめたのは・・・
「これって絶対あぶないよね・・・相手はお兄ちゃんだし・・・。」
そう私は呟いて自分の部屋をあとにしました。
「お兄ちゃーん!おはよー!!」
お城の廊下でお兄ちゃんを見つけた私は駆け足でお兄ちゃんの所まで走っていきます。
「あ、タバサ・・おはよう・・。」
今日も元気がないお兄ちゃん。ここ3日前からずーっとこんな調子です。
食欲も無いみたいで、せっかくコックさんが作ってくれた料理もほとんど手をつけません。
でもスープだけは全部飲んでるのよね。それだけじゃ・・お腹空いちゃうよ?お兄ちゃん?
「今日も・・元気無いのね・・・。お父さんが心配してるよ?早く元気になってお母さん探す旅に行こうよ!ね?」
でもお兄ちゃんは上の空で
「うん・・ごめんね・・・。」
そう言って自分のお部屋に戻って行っちゃいました。
お兄ちゃんを元気にさせるために、私はサンチョさん達に黙ってラインハットへ向かいます。
「コリンズくんなら、お兄ちゃんを元気にさせる方法知ってるかも・・・。」
今思えばそれが間違いだったんだよね・・・。
「でね、コリンズくん。お兄ちゃんったらもう3日も元気がないのよ!」
私のお話をちゃんと聞いてくれたのか、コリンズくんはこう言います。
「よし、オレ様に任せておけ!ちょっと待ってろよ?」
そのままコリンズくんはお部屋を飛び出していきました。
よかった、コリンズくんに聞いて正解だったみたい。お兄ちゃん・・・まっててね・・・
今、今タバサがお兄ちゃんを元気づけに行くからね・・・!
しばらくしてコリンズくんがお部屋に戻ってきました。
「これ!これを着て、このメモ通りにやれば絶対元気になるぜ!間違いない!うちの父上も母上にこれやってもらってすっげー元気になってたんだぜ!」
そう言って大きな紙袋を私に手渡しました。その中身を見て私は
「え、えーーー!これ・・・着て・・・この通りに・・・するの?」
コリンズくんはニヤニヤしながら私にうなずきます。
これで・・・元気になるなら・・・タバサ頑張るよ!お兄ちゃん!!
お城に戻った私はさっそく自分のお部屋でコリンズくんにもらった服を着ました。
これ・・・服って言うのかな・・・。
お兄ちゃんのお部屋の前に着いた私は、周りをキョロキョロしてノックします。
「お兄ちゃん。タバサです。入るよ?」
お部屋に入るとお兄ちゃんはベッドに座ったまま私を見ます。
「お、お兄ちゃん・・・ちょっと・・・いいかな・・・?」
そして私は大きなタオルを取りました。
「タ、タバサ?どうしたの?そんな格好で・・・。」
お兄ちゃんは驚いています。今の私は天使のレオタードしか身に纏ってません。
「う、うん。一緒にお風呂・・・は、入ろうと思って・・・。」
恥ずかしがるお兄ちゃんを私は強引にお風呂場へ連れて行きます。もちろん、お兄ちゃんの水着も持って・・・。
大きな浴槽に私とお兄ちゃんの二人だけが入っています。お湯があったかいせいだよね・・・。
こんなに私の身体が熱いのは・・・。
お兄ちゃんも恥ずかしいのか、ぜんぜんお話してくれません・・・。
私だって・・・恥ずかしいんだよ?
「お、お兄ちゃん・・・。」
「な、なに?」
「なんで・・・元気ないの・・・?」
とうとう私は聞いてみました。お兄ちゃんが元気がない理由を・・・。でもお兄ちゃんは
「それは・・・」
そう言って黙り込んじゃいました。
私はコリンズくんにもらったメモの内容を思い出し、勇気を振り絞ってこう言います。
「お兄ちゃん!お背中・・流してあげるね?」
浴槽から出た私、お兄ちゃんは黙り込んだままタイルの上に座ってくれました。
「小さい頃はよく一緒にお風呂はいったよね・・・。」
「そ、そうだね・・・。」
まだお兄ちゃんの元気は戻りません。やっぱりコリンズくんに聞いたのが間違いだったのかな・・・。そんなことさえ頭をよぎります。
そして、コリンズくんにもらったメモの最後の内容を実行するべく、私はお兄ちゃんに気づかれないように水着の肩ヒモとってまだあまり膨らんでいない・・む、胸をお兄ちゃんの背中にピッタリくっつけました。
「タ、タバサ?」
少し声が裏返ったお兄ちゃん。ごめんね、お兄ちゃん・・・タバサは悪い妹です・・・。
でも、お兄ちゃんが元気になるなら・・・私・・・。
「お、お兄ちゃんが・・・元気になるなら・・・私・・・あげてもいいよ?」
もー!これでお兄ちゃんの元気が戻らなかったら・・・コリンズくん!覚えてなさいよ!!
お友達のコリンズくんにさえ殺意が芽生えた瞬間でした。お兄ちゃんはカタカタ震えながら急にこっちを振り向きます。
「だ、ダメだよ!」
いきなりお兄ちゃんがこっちを振り向くんだもん。私・・・自分の胸を隠すのを忘れちゃって・・・お・・お兄ちゃんも・・その・・私の胸に目がいって・・。
「キャー!お兄ちゃんのHッ!」
そう叫んでお兄ちゃんのほっぺたに力いっぱい平手打ちをしちゃいました。
その時でした。お兄ちゃんの口から白い・・・何かがポロリと落ちました。
それを拾っているお兄ちゃんを見ながら、私は半分だけ脱いだ水着を元に戻しました。
やっとお兄ちゃんの顔に笑顔が戻った瞬間でした。
「タバサ!見て見て!やっと抜けたよ!!」
私はお兄ちゃんの喜ぶ顔にうれしくなりお兄ちゃんの差し出した手を見つめます。
「え?なにこれ・・・歯?」
首を上下に激しく動かすお兄ちゃん。
は、はは・・・私・・・・なにやってるんだろう・・・。
そう思うと、恥ずかしさと情けなさで心が一杯になった私は思わず声をあげて泣いてしまいました。
お兄ちゃんが心配して必死に慰めてくれてます。
お兄ちゃんはその日、お兄ちゃんのベッドで一緒に沿い寝してくれました。
私はお兄ちゃんの匂いが大好きです。太陽よりも暖かくて、とても心が落ち着くお兄ちゃんの匂い・・・。私は胸いっぱい、お兄ちゃんとお兄ちゃんのお布団の匂いを吸い込みました。
私はいつも眠りにつくまでお兄ちゃんの事を考えます。そうすると、お兄ちゃんの夢を見ることがあるんです。
でも、やっぱり夢は夢で、目が覚めた時ほんの少し涙を流します。
それを見て心配してくれるみんなには、「あくび」だよと言ってごまかします。
私は、これから先もずっとお兄ちゃんに恋をしていくでしょう・・・。
DQ外伝〜タバサ〜 完