ペコ氏のSS…1

DQ外伝 〜約束〜 第1話


いつもと変わらぬここグランバニアの城内。そこでは来月行われるラインハットとの親睦会での打ち合わせが夜遅くまで行われていた。


「・・・です。それから王様、ラインハットのヘンリー様より、デザートは是非サンチョ殿に作ってもらいたいと申し出が出ておりますが・・・。」

白いヒゲを上下に揺らしながらオジロンは言った。

「わかりました、オジロン。サンチョには僕から言っておきます。そうそう、オジロン、レックスをここに呼んできてもらえますか?」

やっと終わったと安堵の表情を見せるアルス。

「ハッ。」

そう言ってオジロンは部屋をあとにした。大臣が出たあとにアルスは窓辺に立ち、夜空に広がる星を見上げながらつぶやいた。

「あれから7年か・・・早いものだな。」


そう、大魔王ミルドラースとの戦いから7年、勇者の父アルスは母国グランバニアの王位に復権し、各国との友好を深め、また自国のみならず平和な世界を長く維持させるため日々国政に努めている。


扉が開くと、そこには7年という歳月でより逞しく、好青年へと成長したかつての勇者レックスが姿を現した。

「呼びましたか、父さn、いえ王様。」

「はは、いいよレックス。今は親子二人だけ。いつものように呼んでおくれ。」

笑いながらアルスはレックスの側に近づいた。

「はい。父さん。何か用ですか?」

レックスが笑いながら返事をすると、アルスは彼の目を見ながらこうつづけた。

「うん、実はねレックス。この国には古くからのしきたりがあってね。年の齢17になる第一王子はある試練を受けてもらうんだよ。」

アルスがそう言うと、レックスは顔を引きつらせながら

「試練?まさかそれって・・・」

「そう、この国の王となるためのしr・・・」

「いやだ!」

レックスは間髪いれずにそう叫んだ。アルスは驚いた顔で、レックスにこう言う。

「な、なんでだい?レックス。父は早くお前に王位をついでもらいたのだが・・・」

「何言ってるんですか!3ヶ月に1度は母さんと「第○回新婚旅行」って言ってルーラでどこか行って!その間、僕やタバサが国王の代理やらされて・・・たまんないよ!僕は剣の修行がしたいし、あいつだって・・年頃の女の子だ!好きな人と一緒にいたいだろうし・・・」

次の瞬間、レックスの後ろの扉が勢いよく開いた。

「どーしたのお兄ちゃん。そんなに大きな声だして。庭まで丸き声よ?」

駆けつけた妹のタバサはあらあらしく声を張り上げた僕を心配そうな表情で話しかけた。

勇者の双子の妹タバサ。彼女もあれから7年という歳月で美しい女性へと成長した。


母ビアンカゆずりのブロンドヘアーは腰まで伸ばし、スラッとした足、引き締まったウエスト、胸は・・・まだ発展途上なのかは別として。その美しさは今年も世界妹選手権のディフェンディングチャンピオンとして君臨することは間違いなしだ。

「タバサ・・・いや、父さんが僕に・・・その・・・王家の試練を受けてこいって・・・。」

「試練?王家の?それって王様になるための?」

「ああ。」

少しの間の後、すごい剣幕でタバサがアルスにむかって叫んだ。

「お父さん!」

そう言いながらタバサはレックスの横を通り過ぎる。ほのかに石鹸の匂いがした。

「な、なんだい?タバサ」

オタオタしているアルスがしゃべるより先にタバサが続けて怒鳴りつけた。

「とぼけないで!今度はどこにお母さんと行くつもり?いい加減にしてよね!この間は『これが最後だから〜』って言うから。引き受けたのよ?」

「いや・・それは母さんがどうしても見たい芝居があるって言うからで・・・、とにかく、明後日!明後日までに返事を出しなさい。レックス。わかったね?これは父としてではなく、グランバニア国の王としての命令だよ。」

「なーにが『王として』、よ!自分が楽したいだけでしょう?」

「まぁまぁ、タバサ。今試練を受けておけば、あとあと楽なんだよ。」

タバサとアルスのやりとりをよそ目に、レックスは一人、考えていた。

「(まてよ、僕が王様になれば・・・一国の王となれば父さんみたいにわがままを言っても許されるのかもしれない。でも、許されるはずがないよね・・・。実の妹と結婚したいだなんて・・・)」

「レックス、君は勇者だ。でもその前に私の息子であり、一国の王子だ。言っている意味がわかるよね?」

レックスに小声でそう言った後、アルスは階段をのぼり自分の部屋へと戻っていった。

二人も部屋へ戻るが、レックスは一晩中物思いにふけ、そして夜明け前に床についた。


DQ外伝 〜約束〜 第1話・完


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