ボクは異世界にいる…
この場所は、今までボクが居た世界とは全く別の空気が流れているようだった。
暗く、重い雰囲気に包まれた、太陽の光が届かない、絶望と闇の世界…
そう… 大魔王の居た魔界と似たような空気が流れているように思う。
ボクの目の前には大きな神殿があって、そこから微かな光が漏れている。
その微かな光に導かれるように、ボクは神殿へと入っていった。
「何故だ邪神よ… 何故蘇らないのですッ!?」
タバサをさらっていった憎い声が、そう叫んでいる…
ゲマの傍では、ボクの愛しい人が仰向けに寝かされていて
その胸には微かな光の源と思われる玉が置かれていた。
「そこまでだッ!! ゲマッ!!!」
ゲマは驚いてボクの方を見た。
「ほっほっほ… まさかこんな所まで…アレフガルドにまで追い掛けて来るとは… さすがに驚きましたよ…」
「さあッ!! タバサを返してもらうぞッ!!!」
「そうはいきません。どうやらこの玉に封じられた邪神が蘇らないのはあなたの想いが光のチカラとなり、この娘を守っているからなのでしょう…」
「ふ、封じられただって!? ここは邪神の支配する世界じゃないのか…?」
「ほっほっほ… 正確には、邪神の残留思念が支配する世界ですよ…かつて人間に倒されてしまった邪神は、この光の玉のチカラによってその魂を封じ込められたのです…しかし長い年月を経て光の玉のチカラは弱まりこのアレフガルドは邪神の思念波だけが暴走する世界になったのです…だから私がその邪神の魂を解放し、新たな強い肉体を与えてあげよう、と考えたのですよ…」
「……そんな説明なんかどうだって良い。タバサは返してもらう。お前は倒す。邪神の復活はさせない。タバサと一緒に帰る。ボクの考えてることはそれだけだッ!!」
ボクは天空の剣を構えて、猛然とゲマに斬りかかっていった!!
ゲマには、前に闘ったようなイヤらしい余裕はないように思えた。
まだ天空城でのタバサとの闘いの疲れが完全に払拭されていないんだろう…
「お、おのれ… 勇者め…」
ゲマは残り少ない魔力で苦し紛れの攻撃を仕掛けてきたけど
体力が万全なボクには大して問題ない程度だった…
そして… ボクは遂にトドメの一撃をゲマに振り下ろした!!
「うぎゃああああぁぁぁぁぁ!!!!! お、おのれぇええぇ…こうなればァァァァッ!!!!邪神よッ!! 破壊の神シドーよッ!!!この私の命と引き換えに!!!! お前を娘の身体に憑依させてやる!!!!!うおおおぉぉぉオオオオッッ!!!!!!」
ゲマはそう叫ぶと粉々に砕け散り、タバサの身体を黒い影が包み込んだ。
「た、タバサッ!!」
すると、タバサは目を覚まして立ち上がり、不気味な声で言った…
「ク・ク・ク… ワタシハ・ヨミガエッタゾ…」
「タバサァーーーーッ!!!!」