Scherzo氏のSS…7

ここはグランバニア南の山の頂上にあるチゾット…

ボクとタバサとサンチョは、長い間行方不明のお父さんとお母さんを捜しに旅に出たんだ。

早く見つけて、いっぱいいっぱい甘えたいな…

「さぁ、今日はここで宿をとりましょう。私は宿泊の手続きをしてきますので、お2人とも少し遊んできても良いですよ」

「うん! サンチョさん、よろしくね!!タバサ!! ちょっと村を見物してこようよ!!」

「うん、おにいちゃん」

サンチョさんが手続きをしてくれている間、ボクとタバサは村の中を見て回った。

つり橋はもう渡りたくないってタバサが言うから、つり橋からこっち側だけの狭い範囲だけど…

途中、赤ちゃんを抱っこしている女の人が居た。

どうやら、赤ちゃんを寝かしつけているみたいで、子守歌を歌っていた…


ねんねんころり 母の歌に
月も昇る 夢の小道
ひらり ひらり ひらり蝶々
花のかげへ 宿をかりに


とっても優しい歌声だった…

きっとボク達のお母さんもこんな優しい声に違いない…

ボク達はまだ見ぬお父さんお母さんを想い、少し寂しくなった。

宿に戻って、お食事もお風呂も済ませ、ベッドに入った。

でも、タバサはさっきから元気がない…

「おやすみタバサ」

「うん、おやすみ、おにいちゃん…」

やっぱり元気のない声でタバサが答える…

しばらくすると、ボクの隣から泣き声が聞こえてきた…

「うっ… えぇっ… えっ… ぐすっ……」

「タバサ…? どうしたの? 眠れないの?」

「ぐす… お、おにいちゃぁ… ん…お、おかあさんに… 会いたい… よぉ… えっ… えぐっ…」

ああ… きっとタバサは、さっきの赤ちゃんを抱っこしてた女の人を思い出してたんだ…

ホントなら、ボク達にもあんな風に抱っこしてくれるお父さんお母さんが居たのに…

だからタバサは元気がなかったのか…

ボクはタバサの肩を抱いて言った。

「大丈夫だよタバサ… きっといつか会えるよ」

「い、いつかって… えっ… いつなの…?」

ボクは答えに詰まった…

そんなこと、ボクにだって分からないよ…

ボクは答える代わりに、タバサを胸に抱いて、頭を撫でた。

胸の中でタバサはまだ泣いている…

ボクは何とかタバサを慰めようとしていて、さっきの女の人が歌っていた子守歌を思い出した。

そして、タバサにだけ聴こえるように、小さな声で歌った…


眠れ タバサ  ボクの胸で
涙を拭いて 笑顔を見せて
眠れ 今は  安心して
ボクは ずっと キミと居るよ

眠れ タバサ  ボクの胸で
夢の中へ 入っていこう
眠れ 今は  安心して
夢の中で 遊ぼうね


歌っているうちに、タバサは安らかな寝息をたてていた…

まだタバサの頬を涙が伝っていた。

ボクは涙にそっとキスをして、眠りについた…

次の日の朝、タバサは元気良くボクを起こしに来た。

「おにいちゃ〜ん!! 朝ごはんだよ〜!! 起きてえ〜〜!!!」

「う、う〜ん…」

「ほらほらっ! ごはん冷めちゃうよぉ〜!?」

と、大きな声でそう言った後、ボクにカオを近づけてきて小さな声で言った…

「おにいちゃん… 昨日はごめんね。それとありがとう。私、もう泣かないから…」

「タバサ…」

「だって私には、こんなに想ってくれているおにいちゃんが居るんだもん… 寂しくなんかないの」

そう言ってタバサはボクにおはようのキスをすると、大きな声に戻って元気良く言った。

「さぁ! 早くごはん食べて、お父さんとお母さんを捜すのよ!!」

「うん…!」



('A`)…END


戻る