Scherzo氏のSS

「大変だ…! コリンズがさらわれてしまった!!」


そんなヘンリーさんからの手紙がラインハット兵によって、たった今届けられた。

突然降って湧いたような出来事に、ボク達は動揺を隠せなかった。

ボク達は、サンチョさん達にグランバニアを任せてすぐにラインハットに行った。


混乱しているヘンリーさんとマリアさんだったけど

お父さんとお母さんが2人をなだめてから話を聞いてみると

犯人からの要求はこうらしい…

「王子の命が惜しければ、全ての武器を捨て、全ての女子供を人質として差し出せ。

古代遺跡にて待つ。少しでもおかしな動きを見せれば王子の命は無いものと思え」

最近は、魔物達の動きが少しだけ活発になっているような気はしていたけど

大魔王が存在していた頃ほどのものではなかったので、おそらく犯人は人間だろう…


「ヘンリー、古代遺跡ってあそこだよね?」

「…ああ、お前の親父さん、パパスさんが亡くなった場所だよ…」

「おかしな動きを見せたらコリンズ君の命は無い、か…

 じゃあ兵を動かすわけにもいかないな… かといって、犯人の要求をのむのは危険すぎる」

「ああ、リュカ… 情けないことだが、俺にはどうしたら良いのか見当もつかない…

 俺が1人で乗り込んで助け出したいところだが、どうしてもあの時のことと重ねてしまって…」

「ヘンリー…」


お父さんも、ヘンリーさんの気持ちが痛いほど分かるようで、ヘンリーさんの肩を抱いていた。

ボクもタバサも、一度その部屋から出ることにした。

もちろんボク達だってコリンズくんのことが心配だけど、何となくその場に居てはいけない気がした。


「まったくもう… なんて世話のやける坊やなの!? あんなにご両親に心配かけて…」

「た、タバサ… コリンズくんだって、なにも好きでさらわれたワケじゃあ…」

「わかってるけどぉ…」

「あ! そうだ!! ねぇタバサ!! ボク達だけで助けに行こうよ!!(・∀・)/」

「ええッ!? そんなこと許してもらえるワケないじゃない!!」

「そうだよ!! だから黙って行くんだよ。

 お父さん達は難しいこと考えてるけどさ、結局は助けなくちゃならないんだよ?

 だったら行動は少しでも早いほうが良い。

 コリンズくんだって、きっと怖い思いをしてるに違いないんだからさ…」

「おにいちゃんは簡単に考えすぎなの… でも… おにいちゃんと2人で行くなら… 良いかも…」

「う、うん… よし、決まりッ!! 早速出発だ!!

 出て行くのが見つからないように注意してねタバサ」


すでにお互いの気持ちが分かっているボク達は仲良く手をつないで歩いた…

ボク達は難なくラインハット城から抜け出すと、北にあるという古代遺跡へと向かった。

途中でプックルがスゴイ勢いで追いかけてきたので、連れて行くことにした。



──古代遺跡

誰も居ない… 遺跡の周りにも、内部にも、人の気配はしない。

どういうこと? ボク達、場所を間違えたのかな…

そう思いながら遺跡の内部へと進んでいくと、突然、体が透けた幽霊みたいなヤツが数匹現れた!!


「お、お前達か!? コリンズくんをさらったのは!!」

ボクはそう叫んでみたけど、彼らは返事もしないし、動きもしなかった。襲ってくる様子もない…

何なんだ…? 不気味だったけど、何もしてこないのなら先へ進むしかなかった。

タバサは怯えてボクの腕にしがみついている…

どんなに強くても、タバサはやっぱり可愛いタバサのままなんだな…

ボクはこんな時だっていうのに、少しオバケに感謝した…

遺跡の一番奥に続く道には、周りの古い壁とは明らかに不釣り合いな

最近どこかから持ってきたと思われる新しい玉座があって

そこには、お父さんから聞いたことのある親分ゴーストと思われる魔物が腰を下ろしていた…!!

「ヒッヒッヒ… ウマそうな子供が迷い込んできおったわ…」

「お前がコリンズくんをさらっていったヤツか!?」

「いかにも!! …お前達、まさか子供だけで助けに来たとは言うまいな!?」

「その通りよ!! 早くコリンズくんを返しなさいッ!!」

「ぬぬぬ… 以前も屈強な子供2人を相手に不覚をとったことがあるが…

 もうあのようなガキが現れることはあるまいて!! 行くぞーーーーーーー!!!!」

親分ゴーストと思われる魔物は元気良く飛び掛ってきたけど

はっきり言って、相手にならなかった。コリンズくんはこんなのにさらわれちゃったの???

ま、まぁコリンズくんはボク達みたいに冒険して強くなったワケじゃないもん、仕方ないよね…

遺跡を更に奥に進むと牢屋があって、コリンズくんはそこに居た。

「あーあー!! レックス!! オレ様のレックス!! オレ様のために助けに来てくれたんだな!!

 オレ様はオマエの親分であることを誇りに思うぞ〜〜〜!!!」

「ちょっとコリンズくん… 私も居るんだけどぉ…」

「ああタバサか、お疲れさん。あーあー!! レックス〜〜〜〜!!!!!」

「わ、私のおにいちゃんに勝手に抱きつかないでよぉ!!」

「と、とにかく!! 無事で良かったよ、コリンズくん…」


そんなワケで、コリンズくんを助け出したボク達は、ラインハットに戻っていきました。

ボク達は勝手に出て行ってしまったことをお父さん達に怒られると思ってビクビクしてたんだけど

ボク達の話を聞き終えるとお父さんは優しい笑顔でこう言った。

「なんだ、じゃあプックルをお供に付けなくても大丈夫だったのか… よくやったぞお前たち。

 プックルもお役目、ご苦労さん!」

「えっ!? お父さん、ボク達が出て行くの、気付いてたの!?」

「あはは… 気付かないワケないだろ? ボクはキミ達の父親なんだよ?

 キミ達がやろうとしてることくらいお見通しさ」

さすがお父さん… ボク達を信頼して行かせてくれたんだ…

さて、そろそろグランバニアに戻ろうか、とお父さんが言ったときに

コリンズくんが話し掛けてきた。

「なぁレックス!! コレあの古代遺跡で見つけたんだ!! 古そうだからきっと値打ちもんだぜ!!

だからさ、お礼にオマエにやるよッ!!」

そういってボクにくれたのは、楽器の「リュート」だった。

楽器は好きなので、遠慮なくもらっておこう。


     第1部 ─完─


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