三人は、ルラフェンに向けての船の上にいた。
「サンチョ、ルラフェンってどこにあるの?」
「大丈夫です。ちゃんと地図で調べてきましたよ。」
ここは船の上。二回目の船旅だ。一回目の時にはあれだけ退屈していたレックスも今回は真剣だ。
杖に関する確かな情報を手に入れたからだろう。
地図を指差してサンチョが言う。
「ここです。ただし、船でこの近くまで行くことは出来ません。ポートセルミの町まで船で行きます。そのあとは…、歩きの旅です。結構な道のりですが頑張りましょう。」
「うん。私、頑張るね。ね?お兄ちゃん?」
「うん。僕も頑張る!」
絶対に杖を見つけてみせる。お父さんとお母さんを助けるんだ―――。
そして幾日もの日が過ぎた。
「レックス様、タバサ様、もう着きますよ。ポートセルミの町です。ここからは歩きます。ささ、早く降りる準備を。」
もう目の前にはポートセルミの港が迫っていた。
「ルラフェンまでは決して易しい道のりじゃありませんよ。心して向かいましょう。」
港町、ポートセルミは相変わらずの賑わいを見せていた。(だがレックスとタバサは初めてここを訪れたので普段の賑わいを知らないのだが。)
しかし三人はまっすぐに、ルラフェンに向かって歩き出した。レックスも寄り道はもう懲りたのであろう。
今回は珍しく何も言わずに、ただルラフェンへ向かった。
ここはルラフェンへ向かう道。地図で見るとポートセルミからはまっすぐ西なのだが、いざ歩いてみるとこれがなかなか大変だ。
そういうわけで三人は、今自分たちがどこにいるのかまったく分からなくなっていた。まあ、分かりやすく言うと迷子だ。
「お〜い、サンチョ。ここはどこなの?」
「もっと西に向かえばルラフェンに到着するはずです。しかしおかしいですね、こんなに迷うような道ではないんですが…。」
「だって実際迷っているじゃん!サンチョのせいだよ!」
「お、おかしいですね…。」
そんな中、タバサは何か違う気配を感じていた。
「ねぇ、サンチョ。私思うんだけどもしかしてこれってもしかして…。魔物のせいじゃ…。」
その時、レックスにもその気配が十分に感じられた。
「僕も感じる…。よく分からないんだけど、あっちの方じゃないかな…?」
レックスが指差した方はただの森だった。しかし、タバサにはその『正体』が見えた。
「お兄ちゃん、そこっ、ミステリドール!」
レックスにはそれが見えなかったが、ただ気配を頼りに剣を振った。
サンチョが叫んだ。
「そうかっ!レックス様。これはマヌーサです。お下がりください。」
レックスが下がったのを見てサンチョは大金槌を振るった。ガシャンと何かが割れる音。
そこにはミステリドールの残骸が転がっていた。その瞬間、今まで森だと思っていたところに新たな道が開けた。
「道だ。それじゃ、サンチョは迷ってなかったんだね。」
「そうですよ、レックス様。こんな道で迷うわけが…。」
「でもサンチョ、なんで敵が見えたの?僕には全然見えなかったのに…。」
「私にも見えていませんでしたよ。ただ、長年の勘ってやつですかね。」
「ふ〜ん。でもタバサには見えたんだよね?」
「うん。なんとなくだけど…。」
レックスに生まれつき戦士としての素質があるように、タバサにも魔法使いとしての素質があった。
敵のマヌーサを見破ることが出来たタバサの力は相当な物だろう。
「さあ、道が分かったところで皆さん、進みましょう。ルラフェンまであと少しです。」