レックスクエスト
第一章 双子の気持ち
「・・・っと、まあ、簡単に説明したが、そういうわけで、お前達にも協力してほしいんだ」
グランパニアの一室で、ヘンリーの企画した『コリンズのタバサ姫奪還作戦』についての説明を自分の双子に説明するアベル王、まあ、タバサ結婚話のことはさすがに省
いてコリンズの精神修行の一環としてやる、と説明した。
「お父さん、話は分かったけど・・・なんで私がさらわれる役・・・なの?」
「ん・・あ、ま、まあ・・・あれだ、え〜・・・そ、そう!昔からさらわれるのは綺麗なお姫様って相場が決まってるだろ?そ、そうだよ!うん!伝統っていうのは大切にしない
となあ・・・うんうん!」
さすがに本人に向かって『コリンズがお前に惚れているから』などとは言えない。
「まあ・・・その、お前達が乗り気じゃないのならこの話は無かったことにしてもらうが・・・どうだ?レックス?」
「僕は無論賛成だよ!こんな楽しそうな話!僕が拒否するわけないじゃん!」
息子はノリノリである、これで後は娘がOKすれば完璧である。
「そうか、タバサはどうだ?ちょっとした遊びと思って参加してみたら?」
「私は・・・その・・はい・・・分かりました・・・参加します・・・」
良かった、これでヘンリーへの顔は立つ。婚約のことは・・・まあ後でどうにでもなるだろう。
「そうか!それじゃあこの企画は実行って事で進めるぞ、いや、悪かったね、急に呼び出したりして」
「うん分かったよお父さん!」
「ああ、それじゃあお父さんはモンスター爺さんの所で他の仲間達に協力を求めてくるよ」
「あ、行ってらっしゃい〜」
そう言いつつ子供達の部屋を出て行くアベル王。しかし良かった、子供達も賛成してくれて。しかしもし婚約の話をしたら娘は断っていただろう。この話し方で良かったん
だよな・・・?
そう考えながら廊下を歩く王、いつの世も子供というのは、親の考えなどお見通しだと言うこともしらずに・・・・
─────
「さっすがヘンリーさんだ!面白そうなことを考えるよね!僕久しぶりにわくわくしてきちゃったよ!」
「う、うん・・・そうだね、お兄ちゃん・・・」
とても楽しそうに話すレックス、その横でまるで反対のように気が重そうなタバサ
「あ、あのね、お兄ちゃん・・・・本当に良いの?」
「ん?何がだよタバサ?」
「この話・・・多分、多分だけどね?唯の冒険じゃなくて・・・ゆくゆくは・・・私とコリンズ君を・・・その・・・あ・・・・・けっ・・・結婚させる為のお話だと・・・・思うの」
「ああ、多分そうだろうね、タバサとコリンズ君が結婚したら国と国のつながりが強くなるだろうし・・・けどさヘンリーさんだって話が分かる人だし、結婚に関しては無理強
いはしないと思うよ?もしタバサがコリンズ君と結婚したくない!って言えばすむ話だろうし」
「お兄ちゃんは本当にそれでいいの?私が・・・その・・・コリンズ君と結婚しても・・・・良いと・・・思ってるの・・・?」
「う〜ん、流石に今すぐ!って言われたら考えちゃうけど・・・コリンズ君も何だかんだ言ってヘンリーさんに似てきたし、あとはもう少し素直になればこれと言った欠点も無
くなると思うしね」
「そう・・・なの・・・・・」
タバサはその場でうな垂れた、目の前に居る一人の男に、言われたくない言葉を言われてしまったからだ。一番身近で、一番あこがれて、一番近くて、一番遠い存在・・
・
「あ〜!タバサ!お前もしや・・好きな人がいるな!?」
「え・・・・・うん、好きな人がいるんです・・・・・」
「え、だ、誰だよ!誰にも言わないからさ!教えてよ!そ、その・・なんだ?お、応援するよ!」
「そ・・・それは・・・」
秘密にしよう、タバサは今までそう思っていた。許される恋じゃない。禁じられている恋。もしあなたが私の事を女として愛してくれていたのなら、私は喜んで禁を破り、貴
方の元へ行くでしょう。
だけどあなたは私の事を妹としてしか愛していない。女として見て貰えないのなら、妹としての愛をこのまま受けていよう、それだけで私は幸せだから。そう、思っていた
のだ。
しかしもし私が貴方以外の男の元へ行くとなれば、妹としての愛も受けることが出来なくなる・・・それならば・・・・
私は・・・・
私が好きなのは・・・
「わ、私が・・・す、好き・・・なのは・・・・」
「お、お前が好きなのは・・・?」
グランパニアに住んでいる・・・・
「ぐ、グラン・・・パニアに・・・す、住んで・・い・・る・・・・」
「グランパニアに!?だ、誰だよ・・・・?」
レックス王子、つまりお兄ちゃんです
「レ・・・・・・・レッ・・・・」
その時、部屋のドアが突然開いた
「おいレックス!!おいらがワザワザ買って来たカボチ村産超高級リンゴジュース飲んだだろう!!」
「き、きゃあぁっ!!!」
「う、うわぁあ!た、ターク!ノックくらいしろよ!!」
突然の訪問者は地獄の帝王と呼ばれる魔王エスタークの息子、タークであった。
「ノックなんてできるかレックス!おいらの怒りは頂点に達しているんだ!!いいか!あれを手に入れるためにおいらはどれだけの時間を費やしたかわかるか!!」
「しらないよ!ジュースくらいでケチケチするなよ!!そんな事よりも部屋に入るときにはノックをきちんとなよ!!」
「そ・ん・な事だってええええっ!もうおいらは怒ったぞ!許さない!レックス!装備を整えてから表に出ろ!」
「ああ分かった!ケンカなら受けてたつよ!3階の花壇の前でまっててよ!!」
あるときは世界を救うため、またある時は進化の秘宝を食い止めるため・・・さまざまな理由によりその戦いは始まり、その戦いは伝説となって受け継がれていく勇者
VS地獄の帝王の戦いの火蓋が切って落とされた・・・
リンゴジュースとドアのノックの為に・・・・
その戦いをタバサは部屋の窓から見ながら考え事をしていた。
『言えなかった・・・・けど、これで良かったんだよね・・・言ったら・・・・駄目なんだよね・・・』
そう自分に言い聞かせていた。もし、コリンズ君が私に直接結婚の話を持ってきたら、私はそれを受け入れよう・・・・
そして、すぐにグランパニアを離れよう・・・・14歳で結婚、少し早いかもしれないけど・・王族ならありえない話じゃない・・・・
そして、お兄ちゃんの事は忘れて・・・・
そう思うと涙が出てきた。止まらない、止められない・・・・
タバサはカーテンを閉め、自分のベットに倒れこみ、止まらない涙で枕をぬらしていた。
二人の戦いを止めに入った兵士達の阿鼻叫喚が聞こえる中、タバサは自然と眠りに落ちていった。
────
「くっそぉ〜負けた〜〜!!これで123勝125敗だぁ・・・・おいらの方が負けがおおいよお〜・・・・」
「ははは、っといっても僕ももうヘトヘトだよ・・・MPももうあと3しか残っていないよ〜・・・」
二人の戦いを止めに入って巻き添えを食らった兵士達が倒れている中、二人の笑いがこだまする。ケンカの原因なんてもう殆ど忘れているようだ。
「ターク・・・」
「ん?なんだいレックス?」
「いや、あの時部屋に入ってきてくれてありがとうって・・・言いたくてさ・・・」
「へ?な、なんだよいきなり!何でおいらが入ってきたのがありがとうなんだ?」
「タークが部屋に入ってこなかったら・・・僕は多分・・・・」
「多分?」
「・・・いや、なんでもない」
「・・・変なレックス」
何でも無い事はない。僕は多分、告げられた男の元へ行き、嫉妬にくるって、ボコボコにしてたかもしれない・・・下手をしたら殺していただろう。
自分は一国の王となる人物だ、そんな思いを妹に抱いてはいけない。妹に悟られては行けない。そう、普段から言い聞かせていた。
誰にも知られてはいけない。レックスはそう思っていた。許される恋じゃない。禁じられている恋。もし彼女が僕の事を男として愛してくれていたのなら、私は喜んで禁を破
り、国を捨ててでも貴方をさらい、貴方と共に行くだろう。
だけど貴方は僕の事を兄としてしか愛していない。グランパニアに好きな人が入る。その発言で僕は理解できた。
男として見て貰えないのなら、王となる者して、この愛を捨てよう。王として国民の為だけに生きよう。それが僕の使命なのだから。そう、思っていたのだ
しかしもし貴方が王族以外の男の元へ行くとなれば、王としての使命も果たせなくなる・・・・それならば・・・・
僕は・・・
レックスクエスト
第一章 双子の気持ち 終
第二章 それぞれの思惑