レックスクエスト
第三章 親睦会の覚悟
「あっはっは!ようこそラインハット城へアベル王!デール王に変わってこの親分様が歓迎してやるぞ〜♪」
「あ゙〜・・・こちらこそ手厚い歓迎、とても感謝してるよヘンリー・・・」
アベル一同は長い船旅を得てラインハット城に到着した。
心配していた娘の様子も息子と合流した後にはいつもの調子に戻り安心したアベル王(実際は唯の空元気なのだが・・・)、さあ、後はあのメンドクサイ企
画を終わらせた後ゆっくり寝よう。そう思いながら旧友に挨拶をしていた。
「ルドマン様ご一行様も長い旅、お疲れでしょう、貴方達の料理も至急手配しておきましたので、おいしい料理ととても楽しい趣向で旅の疲れを癒してくだ
さいませ」
「うむ、わしは本来招かれざる客なのかもしれんが、アベル王に今回の趣向を聞いてしまってな、居ても経ってもいられず、つい来てしまったわい!」
「本当にすみません・・・・私の父のわがままにつき合わせてしまって・・・・」
「いえいえ、世界が誇る大富豪のルドマン氏の願いとあれば当然でしょう!それに食事と趣向と言うものは人数が多ければ多いほど楽しいものですし、
貴方の様な美しき貴婦人に会えるのですから!」
「まあ、ヘンリー様ったらお上手ですこと・・・」
ヘンリーは隣に妻マリアが居たらぶん殴られそうな事を言いながらルドマン氏とフローラに話しかけている、その横で嫉妬に燃えてそうな、それで居て口
が出せないような複雑な表情で見ているフローラの夫、アンディがいた。
ルドマン氏とその娘フローラ、そしてその夫のアンディも付いてきたのであった、サラボナの街に到着した時、折角だからとルドマン氏の家に挨拶したの
がまずかった。
今回の企画についてポロッと話した瞬間、『わしも見に行くぞ!』と言い出し止らなくなってしまった。
仕方が無いのでルーラで急いでヘンリーの元へ行き、ヘンリーに許可を貰いった後又ルーラでサラボナに戻る羽目になった。二度手間である。
ちなみにヘンリーはその場で『うん、いいよ』の一言で済ましてラインハット王デールに話しておらず、今日になり『あ、そうそう、今日の親睦会、サラボナ
の大富豪、ルドマン氏とそのご一行も来るらしいから』と告げた。
王デールはパニックになった。それはそうである。ルドマン氏と言えば世界でも五本の指に入るほどの大富豪である。グランバニア王と同上の歓迎をしな
くてはならない。もう発狂寸前である。
『こりゃ、”コリンズのタバサ姫奪還計画”が始まった瞬間ぶっ倒れるな・・・デールのやつ・・・』そう思いながら招待された客人の下へ向かったヘンリーで
あった、無責任な兄である。
「では、歓迎会の準備が整うまでまだしばらくのお時間がありますので、用意させた部屋でゆっくりとしてください」
そう言いヘンリーはグランバニア国一行とルドマン氏一行を用意させた部屋に案内した。
────────────
「ん、そういやアベル、お前の双子はどこ行ったんだ?」
ルドマン氏一行を部屋に招待した後、ヘンリーはアベルに話しかける。
「ん?ああ、何か二人で話したいことがあるからって城下町に繰り出していったけど?」
「あ〜そか、いや、コリンズが凄く会いたがってたもんでね?そかそか、いいよいいよ。多分今夜の企画についての最終的な打ち合わせしてるんだろ?
いいねえ!ノリノリで!」
「あ゙〜〜〜へ、ヘンリー?今回の企画の事なんだけどさ・・?婚約とかの話は無しって事で・・・・?」
「ああ、その話は無し無し!コリンズの精神修行って事で純粋に楽しもうぜ?まあよく考えるとコリンズもお子様だしな〜♪っと、付いたぞ、ここがお前ら
の部屋だ、双子には後で部屋教えておいてやるから」
「お、ありがとうヘンリー、とりあえず休ませてもらうよ」
良かった、向こうも婚約とかそこら辺の話は無かったことにしてくれたらしい。娘も元に戻ったし、これでもう心配事は無くなったな・・・・
アベルはそう思いながらソファーに持たれた所で、ぞくっとした寒気を背筋に感じた。
「・・・・貴方?婚約ってな〜に?」
「び、ビアンカ!き、聞いていたのか!?」
ビアンカの顔は笑顔であった、顔は笑顔であったのだが手にはグリンガムのムチ、そして背後にはただならぬ殺気を背負っていた。
「ひ・・・な、何でもないさ・・・あ、あはははは・・・あうっ!や、やめてくれビアンカ!は、話を聞いてくださ・・・あああ〜〜〜〜っ!!」
アベル王はその時、新しい快楽の扉が半分開きかけた。そう後日サンチョに話していた。
所変わってここはラインハットの川にあるラインハットの関所、関所と言っても平和になった今ではその意味を殆どなさず、今では唯の通り道となってしまっている。
そこに一人の老人が立っていた、老人この糞寒い中、そこで川の流れを見ながら自分が住む国、ラインハットの行く末を見守っていた。
うむ!この国が平和なのはワシがこの国の事を案じながら川を見ていたお陰じゃ!そんな事を考えている所に二人の男女がこの関所に近づいてきた。
ぬ?アレは・・・えっと・・・見たことあるのじゃが・・・・
ああ!そうだ!グランバニア国のレックス王子とタバサ王女ではないか!?老人はボケる寸前の頭をフル回転させた結果、二人の顔を思い出すことができた。
「やっぱり寒いね・・・・けどここの風景はいつ見ても綺麗だよ・・・ね、お兄ちゃん?」
「ああ、そうだなあ・・・・ここの川の流れは綺麗だなあ・・・・」
金髪の髪を揺らしながらタバサ無理をした笑顔でレックスに話しかけた。その枯れた笑顔は雪がちらついているこの川の風景と相まって、とても美しい物
だった。
レックスはタバサのその悲しくも美しい笑顔に対して、今出来る精一杯の笑顔で返そうとしたが、彼の笑顔もまた枯れたものになっていた。。
この川の景色は、昔父と3人で見に来たことがあった、父に聞いたところによると、昔自分達のおじいさんに当たる人物と見た思い出深い景色。
ラインハットに嫁ぐ前に二人で見たいと言うタバサの希望でここに来た二人であった。二人の中ではもう結婚することが決まっているらしい。ネガティブ思
考とは恐ろしいものである。
「・・・私、この川の景色、大好きだよ・・多分これからも・・・ずっと・・・」
私はこのラインハット国をこれからも愛していけます、愛して行く覚悟は出来ています。それを遠まわしに言った言葉・・・。
「・・・そうか・・・」
それを敏感に感じ取ったレックスは、そんな枯れた返事しか出来なかった。
「・・・・そういやタバサ、お前さ、グランバニアに好きな人居たんだろ?そいつはどうしたんだ?」
「・・・・ん、いいの・・・私の・・・片思いだっただけだから・・・」
そう、片思いなのだ、決して結ばれる相手では無いのだ・・・ならせめて、貴方に利益がある結婚をする事が、私が出来るせめてもの愛です・・・タバサは
そう、思っていた。
「・・・・へぇ〜・・・その男はものすごい馬鹿だな。こんないい女を振るなんてさ・・・」
もし、僕がその相手だったら、今すぐタバサを連れさらって行くのに、王とか兄弟とか、そんな事など関係なく、さらって行くのに・・・
だが違うのならば、僕は王としての正しい選択をする事が、僕がしなければならない使命なんだから・・・・レックスはそう、思っていた。
「・・・・私ね?・・・最後にお兄ちゃんとこの景色を見ることができて・・・・本当に・・・嬉しかったよ・・・・?」
タバサは涙をこらえながら必死で笑顔を作りながらレックスに伝えた。
「・・・・最後な訳あるか・・・又、いつでも会えるさ・・・」
その無理をした笑顔に対し、レックスも笑顔で答えようとした。だが、その次に会うときはタバサはもう自分のものじゃない、そう思う彼も胸が締め付けら
れていた・・・
「・・・う、うん・・・ヒック・・・また・・・エグッ・・・会え・・る・・・エグッ・・・・う・・・うえぇぇぇぇぇぇぇん!!!!」
タバサは悲しみを抑える事が出来ず、泣きながらレックスに抱きついた。
「うわぁぁあぁあん!!お兄ちゃぁん!嫌だよ!!別れたくないよおおおおっ!!!!おにいちゃああああん!!うわぁぁぁああん!!」
レックスの胸で号泣するタバサ、それを見たレックスは感極まり、思いっきり抱きしめてやろうとタバサの背中に手を伸ばした。
が、その手は背中に回る事は無かった。
今、タバサを抱きしめたらきっと僕の頭は真っ白になる・・・そしてタバサの事を・・さらって行くだろう・・いや・・この場でタバサを・・・・滅茶苦茶に犯してし
まうかもしれない!
そのまだ成長途中の小さい胸を!その美しく伸びた足を!そのいつも僕の手を握っていた愛らしい手を!その涙で濡れている顔を!その少し濡れてい
る唇を!その目の前に居る最愛の人のすべてを!
・・・・・・・・・・・・・・・・
その気持ちが爆発する前に、レックスは何も言わずタバサのを肩をそっと引き離した
「・・・・行こう、もうすぐ親睦会の時間だ、間に合わなくなる・・・・」
そう言い残し、レックスはそこから逃げるようにラインハットに向かっていった。
「ひっく・・・ううっ・・・・お兄ちゃぁん・・・・ひッく・・・・」
タバサはその場でうな垂れ、泣きじゃくっていた。涙が止まらなかった・・・何時までも・・・・涙が止まらなかった・・・・
その一連の兄弟の動きと会話をすべて聞いていた老人がいた。
ふむう・・・よく分からぬな・・・どういうことなのじゃ・・・?老人はボケる寸前の頭を再びフル回転させた結果、一つの答えに行き着いた。
むほっ!!!そうか!!我が国のコリンズ王子とグランバニア国のタバサ王女が結婚するのか!!これはラインハットにとってはすばらしいことだ!しょえー!!
タバサ王女はあまり乗り気ではない結婚らしいが、まあお国の為だ!仕方あるまい!
うむ!これもワシが川を見ながらこの国の事を案じていたお陰じゃ!!よし!帰ってばあさんや息子につたえてやろう!ワシのお陰でこの国に又一つ素晴らしいことが起きると!!
そう思いながら老人は家路についた。
何度も言う、何度も言うが別に結婚が決まった訳ではない、決まったわけでは無いのだが・・・双子のネガティブ思想はもうどこまでも暴走して行くのであった・・・・
レックスクエスト
第三章 親睦会の覚悟 終