403氏のSS…5

レックスクエスト 
第四章 計画実行 前編



ラインハット城内、双子達は自分達に用意されていた部屋で親睦会の時を待っていた。

お互い会話することはなく、ただ長い沈黙だけがその部屋の中にあった。

そこにノックの音が飛び込んできた。

「お〜い?レックス〜?タバサ〜?居るか〜」

こんな口調で二人に話しかける人物はこの国には独りしか居ない、ラインハット城の王子、コリンズだ。

「・・・どうぞ、居ますよ・・・?」

「よっ!レックス!ひっさしぶりだなあ!元気してたか〜?親父やデール叔父さんに変わってこの親分様が歓迎してやるぞ〜♪」

双子の葛藤、そしてその葛藤の原因の一つが自分だとは知らずに、コリンズはいつもの調子でおちゃらけてレックスに挨拶した。

「・・・こちらこそお久しぶりですコリンズ王子、お元気そうで何よりです・・・」

そのおチャラけた言葉とは対照的にレックスは何処か冷たく刺々しい、それで居て他人行儀で返してきた。

な、なんだよ、いつもなら『コリンズ君、僕の事子分扱いするのやめてよ!!』とかムキになって返してくるのに・・・

「あ、ああ・・・な、何か雰囲気が違うが元気そうで俺も嬉しいぜ!そ、それとタバサも久しぶりだな!あ〜・・・そ、その、なんだ?そのドレス、そこそこ似合ってるぜ?」

いつもと違い雰囲気が刺々しいレックスから話をそらす為、タバサに話を振ろうとしたコリンズ、しかしタバサを目の前にするとどうも口調がドモってしまう、本当は『とっても綺麗だぜ!』とか言いたいのに・・・

「ま、まあまだまだだがな!今度はもっと自分にあったドレスを選ぶんだな〜♪」

タバサに対する感情を隠そうと憎まれ口を叩くコリンズ、いつものパターンならここで『んもぉ〜!コリンズ君のばかぁ〜!』とか言いながら少し怒って終り、そして親父の悪口とかで花が咲く。

今回もそのパターンだ、そうコリンズは予想していた。が、その予想は大きく外れることになった。

「うん・・・ごめんなさい、次からは自分にあったドレスを着てきます・・・・」

タバサはそう上目遣いでコリンズに言った。その言葉はコリンズの胸の高鳴りを激しくした。

上品で、それでいて何というか・・・幼さが残っていて・・・そんでもって俺に服従してくれてるような目で・・・な、なんなんだよ!これ!?

「な、なななな何なんだよお前ら!今日のお前らなんか変だぞ!?と、とりあえずもうすぐ親睦会が始まるから!お、俺は先に行ってるからな!!!」

その何とも言えない空気に耐えることが出来ずに、コリンズは二人の部屋を逃げるように去っていった。

「・・・僕達も、そろそろ行こうか・・・」

「・・・うん・・・そうだね・・・・」

双子達は重苦しい雰囲気のまま、コリンズに続いて部屋を出て、親睦会の会場へと向かった。

あの態度を見たら結婚なんてありえないと思うのが普通だろうが、ネガティブ思考マックスの二人にはそんな事を考える余裕すらなかったのであった。



─────



「え〜・・・こ、このたびは我がラインハット城にお集まりい、いたし・・・ま、まことに嬉しい限りで・・・」

「(おーい、デール〜、落ち着いて尚且つ早くー!料理冷めるぞー!)」

「じ、邪魔しないで兄さん!・・・ええ〜とても嬉しい訪問者としてルドマン氏も着てくださいまして・・・」

ラインハットを代表してデール王の挨拶が始まる。アベルはとりあえず早く終わらないかな?そんな事を考えていた。

そしてふと自分の双子がおとなしいのに気がついた。

いつもなら『長いね〜お父さん?』とか話しかける双子なのだが・・・何というか・・・大人しいというか・・・

「──い、以上を持ちまして私、デールのあ、あああ挨拶とさせていただきます。」

「ん、まあそういうことでお集まりの皆さん!とりあえず親睦会ですし!思う存分に楽しんでください!!」

緊張でガチガチなデール王をほっといて、ヘンリーが場を仕切っていた。デール君、ああいうの弱いからなあ・・・政治力はあるのに・・・・

アベルは目の前のご馳走をフォークでつつきながらそんな事を考えてた。

まあ食べようか、今日の夜は長くなりそうだし・・・そう思いご馳走に手をつけようとしたアベル。ふと、横に居る娘のが料理にまったく手をつけて居ないことに気がついた。

「どうしたタバサ?ご飯食べないのか?今日の夜は長くなるぞ〜?」

「え、あ、うん・・・ご、ごめんなさいお父さん、私ちょっと食欲がないんです・・・・」

「お前は唯でさえ小食なんだから無理してでも食べないと!レックスを見てみろ、お前もアレくらい食べないと・・・って・・・あれ?」

と、レックスを方を指差して言うアベル。

いつもならこんなご馳走を前にしたらがっつきながら食べてビアンカに『もっと行儀よく食べなさい!』と怒鳴られるはずのレックス。

しかし指を指されたその先に居たレックスはがっつく所かとても上品に、気品あふれる作法で食べていた。そう、まるで近い身内の結婚式の様に・・・・

「あ、あれぇえ〜〜?」

アベルの頭が程よく混乱している所で、ひそひそ声で隣に座っているビアンカが聞いてきた。

「(貴方!本当に婚約の事とか言ってないでしょうね!?)」

「(う、うん、本当に言ってない!信じてくれよ!もうムチは勘弁してくれよ!)」

「(じゃあ、何であの子達の様子がおかしいの!?)」

「(し、知らないよ!俺が聞きたい位だよ!)」

双子のネガティブ思想暴走は、親の創造をはるか上を行くものと化していた・・・・

タバサの頭の中ではこれが家族との最後の晩餐となっているらしく、父や母、そして兄との最後の食事になると食事が喉を通らなかった。

レックスも最愛の妹との最後の晩餐と思っているらしく、兄として最後くらいは、妹に恥をかかすのはやめよう・・・そんな事を考えていた。

双子のネガティブ思考はもう、最高潮に達していた。



───────



「さて!そろそろ親睦会って言うものが始まる時間だな!お前達!!準備はいいかい!?」

「こちらベホマン、準備OKですよ〜」

「こちらホイミン!僕も準備OKです〜」

「よし!んじゃあターク様のタバサ姫拉致大作戦!!ミッション!スタァート!!!行くぞブリード!!!」

「クアァ〜〜〜!!」

タークはホークブリザードのブリードの背に跨り、親睦会が行われている2階の大広間へと向かっていったのであっ
た。


第四章 計画実行 前編 終

第四章 計画実行 後編


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